アメリカ、ロシアの核軍縮について | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

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アメリカ、ロシアの核軍縮について


政治分野の翻訳 を担当している佐々木です。今回は核軍縮(nuclear arms reduction)についてです。


アメリカのオバマ大統領とロシアのメドベージェフ大統領が新たな戦略兵器削減条約(Strategic Arms Reduction Treaty)に署名しました。世界が核兵器テロや核開発などの脅威に直面している現在、アメリカとロシアが核兵器の削減を通じて戦略的な安定を図ることは、世界の安全にとって大きな一歩です。


オバマ大統領は1年前にチェコのプラハで演説を行い、「核兵器のない世界(nuclear free world)」実現に向けて具体的な措置を取ると公約しました。新条約の発効から7年以内に両国は戦略核弾頭(strategic nuclear warheads)の配備数を1,550発以下に削減します。また、長距離弾道ミサイル(long-range ballistic missiles)や長距離爆撃機(long-range bombers)など、核兵器の運搬手段も800基以下に制限されます。しかし、配備から外して備蓄に回した戦略核弾頭や巡航ミサイル(cruise missiles)などに搭載される戦術核はまだ手つかずの状態にあるため、条約が発効、履行されても、世界には約20,000発の核兵器が残ってしまいます。


核拡散の防止はアメリカやロシアを始め、中国、イギリス、フランスなどの核保有国(nuclear power)だけでなく、非核国(non-nuclear power)の協力が必要です。また、事実上の核保有国となったインドやパキスタンなどとの連携も不可欠です。


核実験全面禁止条約(CTBT:Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty)の発効や核兵器の原料となるプルトニウムや高濃縮ウランの生産を禁じるカットオフ条約(FMCT:Fissile Material Cutoff Treaty)の交渉開始など課題は山積していますが、各国が「核兵器のない世界」に向けて一致団結すれば、実現も不可能ではないでしょう。


(株)高橋翻訳 事務所 政治翻訳 担当 佐々木