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カバン屋のオヤジです。仕事関係もですが、旅行や食事など、個人的な趣味趣向を中心に感じた事をとりとめもなく書いていきます。

1月中旬、寒波が襲った東京で、なでしこジャパンの2017年度最初の合宿が行われた。
高倉麻子監督が招集した28名の中に、猶本光選手の名前もあった。

2012年に、なでしこリーグ屈指の強豪チームである浦和レッズレディースへ移籍し、ロンドン五輪終了後、日本でFIFAU-20女子W杯が開催されたのだが、猶本はヤングなでしこと名付けられた20歳以下の日本女子代表チームの主力として参戦し、地元開催のプレッシャーに負けず、超攻撃的サッカーのタクトをふるい、銅メダル獲得に貢献した選手である。
このU-20女子W杯での活躍と、端正なルックスの相乗効果で、この辺りから猶本人気が沸騰し、ポジションが同じボランチという連想から『澤穂希の後継者』と称されるようになった。
しかし、平坦な道はここまでで、ここから先は、山あり谷ありだったのだ。
2013年はケガに見舞われ、浦和での公式戦出場は僅か7試合に留まった。
左腕にキャプテンマークを巻いて臨んだ、秋の国際大会、AFCU-19女子選手権でも、まさかの4位に沈んでしまう。
自身2度目の出場を目指したU-20女子W杯の出場権を逃し「強い責任感の持ち主だからショックは大きく、代表から戻ってきても完全に自信を失っていた。だから、しばらく休ませたほうがいいと思って、ウチでも無理に使わなかった。」と浦和の吉田前監督に言わせたくらいだった。
しかし、翌2014年、猶本は完全に蘇った。
なでしこリーグの開幕戦で浦和は、INAC神戸レオネッサと対戦し、澤穂希らを擁してリーグ戦3連覇中のチームを、激しい点の取り合いから降した。
決勝点は、試合終了間際に猶本が放った、強烈なミドルシュートだった。
この勝利で勢いに乗った浦和は、同年のエキサイティングシリーズで優勝し、5年ぶりのリーグ制覇を果たし、自身も初の年間ベストイレブンに選出された。
なでしこジャパンでチャンスを与えられるようになったのもこの年。
ニュージーランドとの親善試合で、初めてAマッチに出場し、続く女子W杯カナダ大会の出場権を賭けた、アジアカップにも参加した。
秋には親善試合のガーナ戦、続くアジア大会のチャイニーズ・タイペイ、香港、ベトナム戦でキャップ数を増やしていったのだが、しかしながら、それでもアピールが十分だったとは言い難い。
猶本選手は、物事の本質を突き詰めながら、一歩ずつ前進していくタイプで、ポンと飛び込んですぐに結果を出せるほうではないかもしれない。
猶本選手がプレーするボランチは、自力でどうこうできる部分が少ないポジションだ。
持ち味であるピッチを広く使ったゲームメイクも、ダイナミックな攻撃参加も、周囲との連携が大前提になるが、不幸なことに、これまで猶本選手がプレーしてきた年代別代表と佐々木則夫監督のフル代表に、約束事の共通項は少なかったと思われた。
大方の予想通り、2015年のFIFA 女子W杯カナダ大会のメンバーリストにその名前はなかったし、雪辱を期した昨年も、リオ五輪予選を前にした選考合宿に参加したが、予選を戦うメンバーからは漏れている。
しかし、今回の高倉監督は、猶本選手のパフォーマンスと、そのパーソナリティを、直接、把握している。
昨年6月のアメリカ遠征、7月のスウェーデン遠征では声がかからなかったが、これは負傷を抱えてプレーしていた猶本のコンディションもあってのことで、このタイミングでの招集は単なるテストではなく、よりポジティブな意味合い、つまり、これからのなでしこジャパンを背負って立つひとりと期待しての選出だろう。
2年後の女子W杯フランス大会、そしてその先にある2020年東京五輪に向けて、ようやく真のスタートラインに立った猶本光選手。
高倉監督率いる新生・なでしこジャパンと共に、どんな活躍を見せてくれるかが、要注目だ。

塚本カバン店