あっという間にショートカット
頬やこめかみを、冷たい風がよぎる。
まるで慎太郎、三島由紀夫の気分で、風を切る。
久しぶり、と言っても二年半ほど、ついに床屋へ参上した。
床屋さん、真っ先に「刈り上げますか」と訊く。
何しろ、ぼうぼうになるまで伸ばし、異様な風情にどう思ったか。
月日も過ぎ、戦後、ジャングルで発見された兵士のように、髭も頭も普通の何倍も伸ばし、黒ずんだ肌に疲れたような状態だった。
店内は、こじんまりと椅子が整然と並び、客の待合室になっていた。
問いかけに「刈り上げでいいです」と言うと、早速、バリカンが登場し、ガリガリと音をたてて、バッサリと髪の毛が床に落ちてきた。
その間、5分か10分ぐらい。
あっという間だった。
気が付くと、遠くから見ると丸坊主に見えるくらいに短くなった頭が、鏡に映っていた。
「後ろの方はどうですか」
と聞かれ、よく見えなかったが、だいたいよさそうに思い、よいですと答えた。
ここは、髪を切るだけで、その他のサービスはしていなかった。
髭などは剃らない床屋で、安上がりの料金を謳っていた。
髪の毛は、スポーツ刈りみたいに短くなり、すっきりの反面、寂しい気もした。
何せ3年程長髪、見た目は後ろから見れば女性の髪ほどに伸び、しかし、体つきやらは男性ぽく、間違られることはなかった。
時代劇の仙人、チョットむかしならヒッピーのようだった。
バリカンのお陰で、一気に刈り上げ、時間も節約できた。
しかし、このご時勢、いくらですかとたずねると、1200円と言われ、あてが違った。
1100円とばかり思いこみ、少し不満だったっが、札とコインを出し、払った。
店を出ると、外は風が吹く冬の道、寒さを感じながら新しくなった髪をかぶり、さっそうと歩む映画のシーンを思った。
時の去るのは早く、もう師走。
あと一か月足らずで新しい年を迎える。
兎のぴょんぴょん跳ねる光景に、来年はもっと跳躍する時代が来てほしい。
平和で穏やか、無事に暮らせるのが一番。
なまけ人間の祈り、情勢はひっ迫しかねない事態でも、民の願いは一途に思う。
<今日の良い出来事>
最近、雑誌を読むようになった。
もちろん、今まで買ってきたりしてたが、無料でも読めると分かり、機会が頻繁になった。
図書館で検索すると、あれもこれもあると分かり、さらに詳しく調べてみた。
買うよりも安く済み、これは便利と利用するようになった
「文藝春秋」、「プレジデント」、「数学セミナー」、その他、幾つかの雑誌が目についた。
年金暮らしとしては、家計も助かる、節約にはもってこいだが、日本中が同調したら、出版社は困るだろう。
限定的に図書館を利用するなら、読者、出版社とも互いに利益になると思うのだが。
独りよがりの言い分か。
勝手で利用しているが、もし絶対必要と思えば、金銭もおしまず購入すると思う。
実際、そのように実行している。
出版社がなくなれば、読者も大いに困る。
そこは、心得て利用すると期待したい。
今年もクリスマスは、雑誌ひとつに単行本と決めた。
少ない予算から、考えた結果で、姉の許可も得ている。