『ハピネス』★★★★
『PS1 黄金の河』★★★★
(満点は★★★★★)




GWが終わって1週間と少々。この時期、増えるのが五月病。
専門家ではないので何がいいのかはわかりませんが、映画は心の良薬になり得ると勝手に信じています。
好きな作品で喜怒哀楽。
たっぷり感情解放してみて下さい。
さぁ、今週は2本です!




『ハピネス』は、篠原哲雄監督最新作。


17歳の女子高生、由茉。
彼女には同級生の恋人、雪夫がいます。
ところが、由茉が突然、雪夫に告げるんですね。
「私ね、あと1週間で死んじゃうの」。
すぐには理解できなかった雪夫でしたが、由茉には生まれついての心臓の病があり、遂に余命宣告が言い渡されたと言うのです。
両親も、由茉の好きなように過ごしなさいと。
そこで由茉は、やりたかったことをやろうと決意します。
人目を気にして出来なかった、ロリータの服を着て街を歩くこと。
大好物のカレーの名店を巡ること。
そして、何よりも大切な雪夫と一緒に時間を過ごすこと。
由茉の、最期の7日間が始まったのでした…。


ボクの中学、高校の同級生、篠原哲雄監督の最新作です。
小説「下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん」で知られる嶽本野ばらの、04年の同名小説の映画化。なるほど、だからロリータ・ファッションに憧れる女子が主人公なんでしょうね。
設定は特殊ですが、人生は長さじゃない、どう生きたかが大切だということを教えてくれます。
そんな意味では、フランシス・コッポラ監督の映画『ジャック』(97年、日本公開)を思い出しました。
細胞分裂が人の4倍のスピードで進む主人公。大学を卒業する時にはおじいちゃん。でも、卒業のスピーチが素晴らしく。
「常にそこにある星は美しい。ただ、流れ星が輝くのは一瞬かもしれないけど、どれだけの人に感動を与えるか」。そんな内容のスピーチだったと思います。コッポラ監督の息子さんも事故でだったか、早逝してるんですよね…。
個人的な話ですが、由茉が大好きなカレーを食べに、銀座の資生堂パーラーに行くシーンがあります。実は、1Fのショップがボクの御用達。逆“聖地巡礼”?なんだか、妙にうれしくなりました(笑)。
由茉の父親には、山崎まさよし。彼は篠原作品の『月とキャベツ』でスクリーンデビューしています。あの映画の冒頭のシーン、カーステレオから流れるラジオDJの声はボクなんですョ。
なんて、自分の話が多くなってしまいました(笑)。
由茉役の蒔田彩珠は、「感覚で察知する、なかなかすごい役者」だとの監督評価。大女優の卵かも?チェックをお忘れなく。★4つ。




『PS1 黄金の河』は、インドの歴史絵巻、その前編。


10世紀頃、南インドで栄えていたチョーラ王朝。
しかし、スンダラ王は病の床にあり、王位継承に関する不穏な空気が流れ始めていたのです。
王には子供が3人います。長男アーディタ、次男アルンモリ、そして長女のクンダヴァイです。
アーディタとアルンモリのふたりの勇敢な王子は、それぞれ北と南で領土拡大のために戦っていて、聡明な王女クンダヴァイは、父の傍で国政をサポートしていました。
ところが、臣下のパルヴェート候が、後継は王子ではなく、自身の息のかかった従弟にし、実権を握ろうと画策していたんですね。
パルヴェート候の若き後妻のナンディニは、幼い頃からアーディタが恋焦がれてきた女性。しかし、ある事件からナンディニはアーディタを恨むようになり、パルヴェート候を裏で操る存在になっていたのです。
この不穏な空気を、遠く離れたふたりの王子に伝えるべく、アーディタの親友で忠実な部下であるデーヴァンが、密使として送られることになったのです…。


1950年に書かれたインドの歴史小説「ポンニ河の息子」。実在したチョーラ王朝の愛憎渦巻くこの小説は、一大ベストセラーになったそうです。
当然、映画化の話は上がりますが、あまりのスケールの大きさにこれまで実現できなかったものが、前編、後編に分け、それぞれ160分超という長さで作られたのが今作。密使デーヴァンの奮闘が軸になって描かれているのが前編です。
インド映画と言えばダンスのシーンですが、必要な場面以外、多用されているイメージもなく。それでいてこの時間尺ですから、いかに壮大なストーリーであるかがわかるかと思います。
きらびやかで美しい映像。公式サイトで登場人物をしっかり把握してから観ると、より理解が深まるはずです。
国は違えど、時代劇好きの日本人にはきっと好まれる1本。物語はどんな結末を迎えるのか。6月14日公開の後編『PS2 大いなる船出』が、今から待ち遠しくなります。★4つ。