『エリック・クラプトン アクロス24ナイツ』★★★
『コロニアの子供たち』★★
『テノール! 人生はハーモニー』★★★
『逃げきれた夢』★★★
『ミート・ザ・フューチャー 培養肉で変わる未来の食卓』★★★
『リファッション アップサイクルでよみがえる服たち』★★★
『レンタル×ファミリー』★★
(満点は★★★★★)





今週は紹介する作品がたくさんあります。
それでは、早速いきましょう!
さぁ、今週は7本です!




『エリック・クラプトン アクロス24ナイツ』は、ライブ・ムービー。


世界中にファンを持つ、世界最高峰のギタリスト、エリック・クラプトン。
80年代後半は、ロンドンにあるロイヤル・アルバート・ホールでの長期公演を活動の柱にしていましたが、その中で、90年1月18日から2月10日までの18公演と、91年2月5日から3月9日までの24公演から映像をチョイス。
オーケストラとの共演や、ブルースの大御所を招いたブルース・ナイトなど、それぞれに趣向を凝らしたステージを見せていましたが、その中から24のパフォーマンスを選び、1本の映画にまとめて、4Kリマスタリングで今によみがえらせたのが、この作品です。
この手の映画のいいところは、訳詞が付くこと。「えっ、そんな内容の歌だったの?」と驚くことも、たまにありますよね(笑)。
フィル・コリンズがドラムを叩いていたり、先のブルース・ナイトでは、ゲストのギタリストと、まるでギターとギターで語り合うかのような演奏が素晴らしかったです。
今年4月に、外国人アーティストとしては初めてとなる、日本武道館100回公演を記録したエリック・クラプトン。
未発表曲も数多くあり、ファンにとっては必見の1本と言えそうです。★3つ。





『コロニアの子供たち』は、事実に基づくカルト映画。


1960年代の初め、チリの地に、ドイツによって建てられた学校「コロニア・ディグニダ」。
ナチスの残党が創設したというこの学校は、一環した規律に守られ、外から見れば素晴らしい教育の場でしたが、その裏では洗脳や拷問、女性虐待、幼児性愛といった、とんでもない悪事が繰り返されていたのです。
1989年、12歳の少年パブロが奨学生として入学すると、歌が上手く、活動的なパブロは、すぐに校長であるパウルに気に入られます。
しかし、それがパブロにとっての悪夢の始まりだったとは、まだ知るよしもなかったのです…。


全寮制で、生活のすべてが監視されており、パウルのお気に入りになるとTVが観られる代わりに、裸で彼のベッドに入らなければなりません。
そこだけ切り取れば、なんとなく、今、世間を騒がせている某芸能プロダクションの問題にも似て…。
コロニアは実在のカルト集団で、今もなお行方不明者の捜索願いが出されていたり、告発が続いていると言います。
観ていて、決して心地いいものではありませんでした。過去にも何度か映画になっているそうで、地元ではそれだけインパクトの強い存在であることが窺い知れます。★2つ。





『テノール! 人生はハーモニー』は、音楽が題材の感動作。


アントワーヌは、寿司のデリバリーで働くフリーター。特技はラップで、敵対するグループとのラップバトルに力を注いでいます。
そんな彼が、パリのオペラ座に出前に行った時のこと。寿司を届けに行った部屋では、オペラのグループレッスンのまっ最中。立ち止まって見とれていたら、最後列の男に「消えな、このスシ野郎」と罵声を浴びせられ、アントワーヌはオペラの真似事で返します。
その歌声に惚れ込んだのが、オペラ教師のマリーでした。
マリーは店に足を運び、出前を届けたのは誰かと問い詰めます。
後日、呼び出されたアントワーヌがオペラ座に行くと、「あなた、オペラを歌ってみない?」と、マリーにスカウトされたのでした…。


しがないフリーターのラッパーが、あのオペラ座でオペラ歌手になる!?
夢いっぱいのサクセスストーリーです。
アントワーヌの長兄はストリートファイターとして違法に金を稼ぎ、家族を支えています。つまり、アントワーヌは貧困層の家庭に生まれ育ったんですね。
オペラは裕福な家の子息が嗜むもの。興味はあれど、まったく場違いなジャンルゆえ、アントワーヌも最初はマリーの誘いを断ります。
それでも、歌の才能がそうさせるのか、だんだんとオペラが楽しくなっていくアントワーヌ。
もちろん兄弟には内緒だし、技術的にも、メンタルの面でも、プライドに関しても、行く手を阻む壁はそこらじゅうにあります。
果たして、アントワーヌの歌は、厳しいオペラ座の“耳”を満足させられるのでしょうかというお話。
いいストーリーだったのですが、「いやぁ、そんなに甘くないでしょ、オペラって」と感じちゃったのが残念だったかな。アントワーヌがオペラに対して、片手間で臨んでいるイメージなんですよね…。
プロは、「才能×多大な努力」で歌を磨いていきます。演歌もそう。あんなに上手いのに、今でもちゃんとレッスンを続けている人気実力派歌手はたくさんいるんですから。
そのリアリティに欠けちゃってたぶん、★を減らしましたが、それ以外は王道を行く感動ドラマだと思いますョ。★3つ。





『逃げきれた夢』は、光石研が主演の人間ドラマ。


末永周平は、北九州にある定時制高校の教頭先生。
ところが最近、もの覚えが悪く、教え子だった南の働く定食屋でも支払いを忘れて店を出てしまうほど。周平は、認知症で施設にいる父親と似てきたのではないかと不安を覚えていたのです。
これまで40年近く真面目に仕事をしてきましたが、妻の彰子にはスキンシップすら拒まれ、娘の由真からは気持ち悪いとまで言われ。ふと振り返れば、自分の人生はいったい何だったんだろうと考えるようになっていました。
仕事から帰った周平は、家族に言います。
「俺、学校辞めるわ」…。


定年まであと僅かという、中年男性のなんでもない日常を描いた物語。
認知症の初期かという症状も出始め、これからの先の人生のために、なんとかリセット、リスタートしようともがく男の姿を描いています。
“なんでもない”と書きましたが、ひとりの人の人生ですから、実はなんでもないことはなくて。それが元教え子との会話や、バイク屋を営む親友とのやり取りに、垣間見えたりもします。
鑑賞後にタイトルの意味を考えてみたのですが正直、よくわかりませんでした。
ただ、先日上岡竜太郎さんが亡くなった際、息子さんが父の生涯を「勝ち逃げの人生」と表現していました。“逃げきる”とはそんなニュアンスなのかなと。
勝ち逃げかどうかはわからないけど、なんとか人生納得して幕を閉じられればという意味なのかなぁと。
ご覧になったら、いろいろと考えてみて下さい。★3つ。





『ミート・ザ・フューチャー 培養肉で変わる未来の食卓』は、未来の肉を扱ったドキュメンタリー。


牛の出すゲップにはCO2がいっぱい。畜産由来の温室効果ガスの問題は、深刻だと言います。
加えて、命を食べるというこれまでの畜産を変えることはできないだろうかと、インド出身のウマ・ヴァレティ博士は考えました。それが培養肉です。
ウマ博士は、元々心臓が専門のお医者さん。子供の頃、友達の誕生日パーティーに行った時、鶏がしめられるのを見て、肉の成る木があればいいのにと思っていたそう。
映画は、そんなウマ博士の2016年から19年の活動を追いかけています。
博士の企業『アップサイド・フーズ』には、持続可能な食の形態に将来性があるということで、ビル・ゲイツやソフトバンク・グループも出資をしているとか。
肉好きのボクにしてみると、大豆ミートはちょっぴり違和感があったけど、培養肉はどうでしょう?
いつ頃、ボクらの口に入るようになるのかな?怖さと好奇心が入り交じってます(笑)。
ちなみに、この映画と、次の『リファッション…』は、エシカル・ライフ・シネマ特集として、2本同時公開となっています。★3つ。





『リファッション アップサイクルでよみがえる服たち』は、香港を舞台にした環境ドキュメンタリー。


“ファストファッション”。
最新の流行を取り入れながら、低価格の衣料品を
短いサイクルで提供する業態のこと。
人口が密集し、埋め立て地ももういっぱいで、ゴミの廃棄が限界に来ている香港では、廃棄衣料の問題が深刻化していました。
この映画では、そんな社会問題を解決するため立ち上がった、3人の香港人とその周りの人々にスポットを当てています。
まずは、水や薬品を使う
ことなく、廃棄衣料から糸を取り出し、新たな衣類を作ることに成功した、『香港繊維アパレル研究所』のCEOエドウィン・ケー。
次に、香港では敬遠されがちな古着の子供服に、いかに付加価値を付けるかを考え、自身のブランド『RETYKLE』で格安で展開しているサラ・ガーナー。
最後は、ペットボトルやプラスチックごみを回収し、リサイクルする『Vcycle』の代表エリック・スウィントン。
中国や東南アジア、アフリカ諸国が、ごみの輸入を停止したことで、自国のごみの行き場がなくなってしまったのは、日本もそうですが、香港もしかり。ただ、他国にごみを押し付けていたこと自体が問題ですよね。
CO2の排出規制も、金で枠を売るだの、買うだの、なんか違わないですか?
香港は、とにかく土地が狭いから、ごみ問題は喫緊の課題。初めて知りましたが、香港はペットボトルが分別廃棄されていないんだそう。
“無理”とか“不可能”とかから入ってしまったら出来ないことが、“やれる”という信念で動けは可能になるんだというのを知る映画でもあります。
ボクなんか、物持ちがいいから、10年以上ずーっと着てる洋服ばかり。でも、これもある意味、環境に優しいってことなのかもしれませんね。胸張って着ようっと(笑)。★3つ。





『レンタル×ファミリー』は、実在するサービス業を基に描かれたヒューマン・ドラマ。


ヒューマンレンタル株式会社。ここは、人間レンタルの企業。社長は三上健太。
時に父親になり、時にデートの相手をし、時に結婚式の親族を演じ。そのニーズは多岐に渡るといいます。
物語は、三上がパパを演じていた3つの家族のオムニバス・ストーリー。
夫のDVを理由に離婚を決意し、現在シングルマザーとして娘のさくらを育てている朋子。ところが、ある日突然、別れた夫が家を訪ねてきたのです。三上を実のパパだと思っていたさくらは、何かがおかしいと気づいてしまいます。
雅美もひとり息子を育てるシングルマザー。しかし、三上への依存が高まり、決して安くはない料金をどうやって工面しているのか。三上はあえて依頼を断るようにしたのですが。
最後は、由美子と菜々子の母と娘。菜々子は勉強熱心な高校生で、大学進学を目指しています。由美子は昼も夜も働いて、菜々子の夢を叶えようと頑張っていたのですが、過労が原因で亡くなってしまいます。葬儀の後、菜々子は三上から真実を聞かされるのでした…。


本当にあるんですね、人間レンタル業。
この映画は、実在の企業、株式会社ファミリーロマンスの代表・石井裕一が書いた著書の映画化でもあります。
お茶をするとか、デートの相手をするぐらいならまだしも、長らく父親を演じるのは無理があるんじゃないかと思ってしまいますが、大丈夫なんでしょうね。そこが“プロ”たる所以なのかも。
ただ、映画はところどころで演技の粗さが目についてしまいました。繊細なテーマだけに、残念だったかな。
ニーズがあればこそ、企業は成り立つわけで。こんな仕事もあるんだと、知見を広げるにはいいかもしれません。★2つ。


Twitterは@hasetake36