『阿彦哲郎物語 戦争の囚われ人』『ちっちゃいサムライ 三浦正雄の子供時代』★★★
(満点は★★★★★)




今、アップリンク吉祥寺で、映画『ガザの美容室』を“不規則限定上映”ながら、100円均一で、緊急上映しているみたいです。公式サイトにありました。
以前もお話した、ガザの日常を描いた作品です。チャンスがあれば是非!
今週の2本も、アップリンク吉祥寺で上映される映画です。日替わり上映みたいです。サイトも同じなので、興味を持ったらチェックしてみて下さい。
さぁ、今週は変則2本です!




『阿彦哲郎物語 戦争の囚われ人』は、民間人抑留者として苦難の日々を過ごした阿彦哲郎さんの物語。

1945年、樺太の国民学校。
ソ連軍の侵攻を間近に控え、帰宅して家族と島を脱出するように言われた15歳の阿彦哲郎でしたが、母と弟を船に乗せると、自分は日本男児として逃げることはしないと、島に残ります。
捕らえられ、スパイ容疑をかけられた哲郎は、スターリンの政治犯強制収容所に送られるんですね。
そこから中央アジアに送られると、収容所での強制労働の日々が始まります。
「日本に帰って、家族に会いたい」。その気持ちだけを心の支えに、哲郎は毎日を生き抜くのでした…。


『ちっちゃいサムライ 三浦正雄の子供時代』も、民間人抑留者だった三浦正雄さんの物語。

終戦後間もなく、北海道に疎開していた13歳の三浦正雄は、家族を探しに樺太へと向かいます。
そこでソ連軍に逮捕されると、1年半の収容所生活の後で流刑となり、カザフスタンに送られてしまいます。
ひとりでポツンといたところを助けられ、集団農場で暮らすことになるのですが…。


詳しいことはボクにはわからないのですが、戦争捕虜と民間人抑留者とでは状況がかなり違ったみたいで、そのあたりは公式サイトにある“映画資料”で専門家の解説を読んでみて下さい。
ざっくり言えば、戦争捕虜は軍の記録に残っていても、民間人抑留者はその記録すらないと。
ただ、戦争捕虜であろうと、民間人抑留者であろうと、過酷な環境での過酷な強制労働を強いられたのは同じで、多くの人が命を落とす中、生き延びた人たちがいたわけです。
この映画は、カザフスタンに4人いた民間人抑留者の中の2人、阿彦哲郎さんと三浦正雄さんの人生を描いたもの。
いわれなき罪で、何十年にも渡って、自由と祖国と家族を奪われたわけですから、戦争とはなんと残酷なものか。そのことを、改めて強く感じさせる2本です。★3つ。



Xは@hasetake36