皆さん、こんにちは。3月になり春ですね。私の姪も大学に合格して無事サクラサクとなりました。伯父としてもうれしい限りです。入学祝にパソコンを買ってあげる約束をしました。最新・最速の機種を買ってあげようと思います。(笑)

 

さて、今回の院長ブログも治療終了の患者さんです。初診時年齢は22歳の女性です。この方実は他院で、すでに上顎前突の治療のため上顎の小臼歯を2本抜歯した矯正治療が終了していました。しかし、徐々に上顎前突が再発してきて噛めない、唇を閉じれない状態で当院へ来院されました。

口元は盛り上がり感があり、笑顔での上顎前歯の前突は気になります。

 

歯並びはきれいですが、前歯の前方傾斜は強く、奥歯も噛みにくそうな感じです。

 

横顔のレントゲンです。骨格的に下顎が後方位にありました。前歯は上下とも前方へ傾斜が強い状態です。これでは、楽に唇を閉鎖することはできず、口腔乾燥による歯肉炎や歯周病も将来心配ですし、気道も乾燥して風邪をひきやすかったり、肺炎などの心配もあります。

 

これがパノラマ写真です。きれいには並んでいますが、上顎は前から数えて4番目の小臼歯を両側計2本すでに抜歯されています。もし抜歯されていなければ、その歯を抜いて前歯の後方移動が可能なんですが、もう切り札は使用されている状態でした。

 

治療方針は、下顎は両側で計4本ある小臼歯のうち2本抜歯としました。これはすぐに決まりました。上顎が悩んだんですが、親知らずがあるため、両側で計6本ある大臼歯の2本を抜歯して、全体を後方移動する作戦が一般的かと感じましたが、治療期間も長くなることが予想されたので、思い切って残った最後の2本の小臼歯を抜歯する、親知らずもコントロールして咬合に参加させる方針としました。つまり治療後は、犬歯の後ろに大臼歯がくる配置となります。いまだかつて、この方針はしたことがありませんが、それが現実的には良いのではないかと思い、患者さんにも、通常とは違う方式での治療方針であることを説明し、同意を得て治療開始としました。

 

抜歯をして上顎に装置を装着した時の写真です。上顎にはアンカースクリューを植立しました。上顎は最後に残っていた小臼歯がなくなりました。

 

治療開始から1年経過時点です。

どんどんスペースが閉鎖している途中です。

 

治療開始から2年経過時点です。

だいぶスペースも無くなりつつあります。この後6か月して治療終了となりました。

動的治療期間は2年6か月でした。治療前後の写真を掲載します。

 

正面と横の写真です。上顎前歯の前方傾斜が改善しているのがわかります。小臼歯はありませんが、横の歯は綺麗にかみ合うことができています。本人も咬みやすくなったと言っていました。

 

咬合面です。もともと綺麗な歯並びなので、サイズが小さくなったぐらいです。上顎は犬歯の後ろに大きな第一大臼歯が配置されました。このような光景は自分でしたこととはいえ、初めて見ました。でも歯医者じゃなければ、気づかないです。

 

正面のお顔の写真です。盛り上がり感は消失しました。笑顔での前歯の雰囲気は別人です。

 

斜めと横の顔写真です。骨格では下顎が後退していることは変えられませんが、唇のシルエットは良くなったと思います。これからも徐々になじんで、さらにバランスが良い口元になると思います。

 

※通常はレントゲンの比較をお見せするのですが、たまたまこの日にレントゲンが故障して撮影できませんでした。ご了承ください。

 

治療終了おめでとうございます。4月から2年間県外へ行くことになっていたので、ぎりぎり間に合いましたね。結果も十分満足できるものになったと思います。一度矯正治療を行った方の再治療なので、神経をつかいましたし、上顎の小臼歯をなくしてしまうという、いわゆる禁じ手を使うことになりましたが、通常使用しない親知らずを咬合に参加させているので、本数的には大丈夫です。今後の安定がどうなるかが不安ではありますが、しっかり見ていきましょう。お疲れさまでした。

 

●今回の写真の掲載は、患者さんに了解を得ております。

●今回の総費用:65万円(治療期間2年6か月)

●治療における一般的なリスクについて

 治療中または治療後には、虫歯の発生・歯根吸収・歯牙疼痛・口内炎・歯肉形態不正・顎関節症・ほうれい線・歯の削合・後戻りなど思いもよらない不都合な合併症のリスクがあります。治療開始時に主な事項についての注意や対応についてお話しし、もし不都合が発生した場合は全力を尽くして対応してまいります。

●治療結果には個人差があります。同様の結果が保証されているわけではありません。ご了解ください。