皆さん、こんにちは。新年はどのようにお過ごしでしたか。私は、横浜の家に元旦に車で移動して、2日は足利の妻の実家へご挨拶に行き、3日に徳島へ大渋滞の中戻りました。かなりの移動で疲れました。しかし、能登半島大地震と羽田の航空機事故には二日連続で大変驚きました。亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災者の方々には、何とか頑張ってほしいと思います。今年は大災害と大事故の悲しい幕開けとなってしまいました。

 

さて、今回の院長ブログは、上顎犬歯が埋伏していた患者さんのⅠ期治療から、非抜歯にてブラケットによるⅡ期治療を行いましたが、口元の前突が強くなり、途中から小臼歯4本抜歯に切り替えての治療が終了した患者さんのご報告です。Ⅰ期の最初からだと8年にわたる治療となりました。

 

初診時9歳時のレントゲンです。

レントゲン写真でわかるように、左上の犬歯が前歯の上に重なるように位置していました。

 

お口の写真です。右の2番目の前歯が反対咬合でした。

 

口元は全く問題はありませんでした。

 

横顔のレントゲンです。骨格も前歯の傾斜にも大きな問題はありませんでした。

 

治療方針は、犬歯の萌出を少しでも良くなることを期待して、上顎の乳犬歯と第一乳臼歯を両側抜歯して、後続永久歯の萌出を誘導することにしました。大臼歯が前に移動しないようにリンガルアーチを装着しました。

 

その後には、犬歯の位置を確保し上顎前歯を配列するために、4本ブラケットを付けて配列しました。

 

全ての乳歯がぬけて、埋伏していた犬歯もほぼ萌出部位が決まってきました。この時点での年齢は11歳でした。

残念ながら犬歯は理想的な位置には来ませんでした。ご家族の希望でブラケットを接着するⅡ期治療を行うこととなりました。

 

顔写真ですが、問題はありません。

 

上顎犬歯以外は骨格的にも前歯の傾斜も問題はない状態でした。ただ犬歯を歯列に入れるにはスペース不足なので、抜歯するか、非抜歯で歯列を拡大して、多少口元がでても仕方ないとするかのボーダーケースでした。

患者さんは、抜歯はしたくない希望でしたので、非抜歯で進めることとしました。

 

犬歯を入れるスペースを作り始めました。

 

犬歯のスペースを確保して配列した時の写真です。綺麗に並んでいますが、上顎の第二大臼歯はスペースが狭く、外側へ傾斜して厳しい状態です。この時点での年齢は15歳でした。

 

口元の写真です。口元はやはり盛り上がり感が出てきており、本人もご家族も口元を下げたいとのご希望でしたので、小臼歯4本抜歯に切り替えることとしました。

 

Ⅱ期治療開始時と再評価時の横顔のレントゲン写真の比較です。

比較すると前歯が前方へ傾斜しているのがわかります。それに伴い唇も突き出てきています。顕著ではないので、これでよいと思う人もいるかもしれません。またブラケットが付いていない第二大臼歯は、配列できる空間の後方限界よりも後方にあり、やはり抜歯した方が全体的に判断して、良いと思いました。

 

4本抜歯してブラケットによる治療を開始した時です。

 

抜歯してからの治療期間は2年2か月でした。治療終了の写真です。

Ⅱ期治療開始時(11歳)と再評価時(15歳)と治療終了時(17歳)の3時点を並べます。

 

この写真は17歳時点の最終時点のみです。内外側的にも適切に配置できました。

 

お顔の変化です。微妙ですが、盛り上がった口元がすっきりした感じになっています。

 

横顔のレントゲンです。前歯の位置が、途中前方へ移動して口元がやや前突して、抜歯後に前歯と口元の後退がわかると思います。

 

治療終了おめでとうございます。いやー長かったですね。本当にお疲れさまでした。抜歯したくない気持ちは皆あります。トライしてみたものの、やはり口元の前突感が出てしまいました。これはやってみないとわかりません。でもめちゃめちゃ綺麗になったと思いますよ。ばっちり噛みやすく、唇も楽に閉鎖できます。まだ不安定なので、リテーナーをしっかり使ってください。

 

●今回の写真の掲載は、患者さんに了解を得ております。

●今回の総費用:85.5万円(治療期間8年0か月 Ⅰ期+Ⅱ期)

●治療における一般的なリスクについて

 治療中または治療後には、虫歯の発生・歯根吸収・歯牙疼痛・口内炎・歯肉形態不正・顎関節症・ほうれい線・歯の削合・後戻りなど思いもよらない不都合な合併症のリスクがあります。治療開始時に主な事項についての注意や対応についてお話しし、もし不都合が発生した場合は全力を尽くして対応してまいります。

●治療結果には個人差があります。同様の結果が保証されているわけではありません。ご了解ください。