皆さん、こんにちは。梅雨らしい日々が続いていますが、お元気でしょうか。

 

今回の院長ブログは、いつもの治療終了ではなく、骨格性の下顎前突症患者さんに、3年間骨格的な治療を行った結果、私の予想よりも、はるかに良く改善している患者さんがいらっしゃいましたので、その方のご報告をさせていただきます。

 

初診時年齢11歳の女子。受け口が主訴でした。

乳歯が1本残っておりました。横の歯は咬めずに、かなり下顎の歯が前方へずれています。

 

お顔の写真です。下顔面の前方位が強く、骨格的な問題が認められました。本人もご家族も心配していました。

 

横顔のレントゲン写真です。分析の結果も強い骨格のズレを認められました。分析値だけで言うと、上顎前歯は前方へ傾斜して、下顎前歯は後方へ傾斜していました。それでも受け口の状態でした。これが成人ならワイヤー矯正治療を行うか、全身麻酔による手術で下顎骨自体を後方へ下げる手術をするかの選択となります。

しかし、まだ11歳、これから身長も伸びてくる年齢ですので、歯をワイヤーで動かす治療よりも、しばらくは骨格性の治療を行って、3年後に再評価をすることとしました。その結果で、ワイヤー矯正または手術の選択となるか、そこで検討することとしました。

 

お口の中の装置です。リンガルアーチという固定式装置を装着し、外側にあるアームからゴムで上顎骨を前方へ牽引する装置です。これをチンキャップという帽子と一緒に使用します。

このように使用します。黒いネット状の帽子がチンキャップというものです。口の前に見えているゴムが、リンガルアーチの外側にあったフックにかけられています。学校ではつけなくてOKです。宿泊研修や修学旅行、風邪などの病気の時も使用しなくてOK。それ以外は毎晩、毎晩これをこつこつ使用してもらいます。暑い夏の夜は汗もすごく、大変ですが、これしかありません。それでは経過を見ていきましょう。

 

治療開始して1年、2年、3年経過時を並べてみます。

1年ごとに横の歯が歯車がかみ合うように変化してきました。大分咬めるようになっています。

 

続いてお顔の写真です。

お顔の方も、どんどんバランスが良くなっていきました。

 

最初と3年目の比較がこれです。

咬合はかなり改善しました。

 

両サイドの写真をお見せしましたが、下顎の先の部分の突出感は明らかに改善しています。初診時は、まだこれから身長も伸び、下顎骨の前方成長も装置でどれだけ抑え込めるかは、私もわかりませんでした。しかし、本人が毎日、毎日、こつこつ、こつこつ使用して、少しずつ治していったんです。多分治りたいという本人のモチベーションがとても高く、一生懸命に使ったんだと思います。良く頑張ったねと言いたいです。私もこれだけ変化することが可能なんだと、学ばせていただきました。ありがとうごうざいました。現在15歳。もう成長も終了してくる頃ですが、まだもう少し継続して、さらに良くなることを目指してがんばりましょう。

 

それでは、今回の院長ブログは終了です。皆さん、蒸し暑い梅雨に負けずに頑張りましょう。

 

※今回の写真の掲載は、患者さんの承諾を得ております。