皆さん、こんにちは。10月になり朝晩はかなり寒くなり始めました。風邪など引き易いのでご注意ください。

 

さて、今回の院長ブログは、治療終了のご報告です。

初診時年齢7歳の女の子です。主訴は受け口。

横からの写真では相当な受け口なのがわかります。まだ前歯の交換期でした。

まだ上顎の第一大臼歯は生えていませんでした。

お顔の写真です。幸い横顔での下顎前突感は強くありませんでした。

 

パノラマ写真です。上顎の第一大臼歯は当分生えてきそうにありませんでした。

横顔のレントゲン写真です。やはり骨格的に下顎骨の前突傾向は明瞭でした。

 

治療方針は、まず下顎に24時間使用のバイトプレートを使用してもらいながら、外側にアームのついたリンガルアーチ装置を上顎に装着して、チンキャップのカップからゴムでそのリンガルアーチのアームを前方へ牽引する装置を使用することとしました。

 

これがバイトプレートです。歯ブラシの時以外は、食事中も学校でも寝ている時も使用してもらいました。

咬み合わせを高くしてその間に上顎を前方へ移動する目的の装置です。

 

次には上顎にアーム付きのリンガルアーチの装着です。通常永久歯の第一大臼歯にバンドを装着ですが、レントゲンでもまだまだ第一大臼歯が生えてこないので、乳大臼歯にバンドを装着しました。

 

これがチンキャップという装置です。ネット状の帽子と金属製のカップをゴムで連結したものです。ご自宅でのみ使用です。昔の先生は学校でも使用を命じていましたが、さすがにこれは目立つので、今は自宅使用です。口元に小さなゴムが見えますが、これがリンガルアーチの外側のアームの先と繋がっています。うつぶせ寝はできませんが、寝返りなどは問題ありません。慣れれば大丈夫ですが、夏は熱がこもって暑くて外してしまったり、髪の毛の寝癖が半端なかったりします。だいたい8時間から10時間の使用をお願いしています。

 

治療開始から1年です。前歯も無事前方へ移動し、もう下顎のバイトプレートの使用は終了しています。チンキャップはまだまだ使用を継続中です。

 

治療開始から2年経過時点です。上顎の右に2番目の前歯が内側から生えてきました。しかしこの段階では動かせないので、このままチンキャプによる骨格系への治療を継続しています。

 

治療開始から3年です。リンガルアーチも撤去して、下顎の成長を抑制するだけにしました。

しかし八重歯が明瞭になってきました。

 

治療開始から4年です。遅れていた上顎の第一大臼歯も生えてきました。下顎に乳歯が1本だけ残っていますが、この後脱落したので、ブラケット装置による個々の歯の配列による治療(II期治療)に入ることとしました。

 

初診時7歳とII期治療開始時11歳の資料を並べてご覧ください。

受け口は治りました。しかしこの装置では凸凹という問題は解決できません。

かなり凸凹は激しいですね。

お顔は、比べるととてもバランス良くなっております。

 

横顔のレントゲン分析では、まだ骨格的な下顎前突傾向はあり、これからまだまだ身長が伸びるので、それに従い下顎骨も増加するので、まだチンキャップは使用をすることとしました。

II期治療の方針は、上顎第一小臼歯2本、下顎は第二小臼歯2本の抜歯を行い、マルチブラケット法にて治療を行うこととしました。

 

上顎にリンガルアーチを装着し、アームをつけて犬歯を牽引する方針をとりました。

 

下顎にブラケットを接着した時の写真です。上顎犬歯も少しは降りてきております。

 

II期治療開始から1年経過時点です。八重歯はすっかり治っています。下顎の抜歯スペースも大分なくなりました。

 

治療開始から2年です。大分並んで咬合も良くなりましたが、上顎の第二大臼歯が生えてきていません。レントゲンでもまだまだ時間がかかりそうなので、一旦治療を終了して、第二大臼歯が生えて来て問題があれば、局部的に装置をつけて治すこととしました。

 

治療開始から2年5カ月で治療を終了しました。治療前後の写真です。

八重歯も治り、抜歯スペースもなくなり緊密に咬合しております。

 

歯列も奇麗なアーチとなっております。

 

お顔の写真もバランスのとれた口元となりました。

 

歯根の吸収などもありません。上顎の第二大臼歯はまだ1年ぐらいはかかるかもしれません。

 

横顔のレントゲン写真です。口元もより奇麗なシルエットになっています。

 

治療終了おめでとうございます。7歳から15歳までの小学校から中学校まで8年に渡り長かったと思いますが、とても奇麗に仕上がりました。もし治療をせずにあのままでは、咬めないし、下顎が前に出た顔つきがコンプレックスになっていたかもしれません。これからは何でも咬めて、歯ブラシもし易く、虫歯や歯周病知らずの人生ですよ。ただし、まだ成長も止まっていませんので、チンキャップは継続しましょう。お疲れ様でした。

 

下顎前突は成長との闘いとなります。早くに初めても成長の終わる18歳ぐらいまで治療が継続する場合もあります。しかし長い人生を考えれば、その時に頑張るしかありません。私達も全力でサポートしてまいります。

それでは、今回の院長ブログはこれまでです。皆さん、お元気にお過ごしください。

 

●今回の写真の掲載は、患者さんに了解を得ております。

●今回の総費用:85万円(治療期間8年)

●治療における一般的なリスクについて

 治療中または治療後には、虫歯の発生・歯根吸収・歯牙疼痛・口内炎・歯肉形態不正・顎関節症・ほうれい線・歯の削合・後戻りなど思いもよらない不都合な合併症のリスクがあります。治療開始時に主な事項についての注意や対応についてお話しし、もし不都合が発生した場合は全力を尽くして対応してまいります。

●治療結果には個人差があります。同様の結果が保証されているわけではありません。ご了解ください。