皆さん、こんにちは。3連休の最終日、皆さんは何をしてお過ごしでしょうか。


さて今日は、久しぶりに歯科矯正治療について書いてみようと思います。たまにはまじめなことも書かないと、と思いました。


学会発表や論文発表のような専門的な内容は、ブログに書いても皆さんにとっては???なので、今日は、タイトルにも書いたように、皆さんにとって聞いた言葉ではあるけれど、よくは知らない・・・ようなことを、まあ雑学的なことを書いてみようと思いました。


ネットに間違ったことを書いてもまずいので、参考文献からの文章をもとに私なりの補足をつけたいと思います。参考文献は、「歯科衛生士教育マニュアル 歯科矯正学」から抜粋させていただきました。
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今回は第1章 歯科矯正学概論をご紹介します。

まず「1-1 歯科矯正学とは」 という小タイトルの冒頭にこのように書かれています。


F.D.I.(国際歯科連盟)歯科用語定義集に歯科矯正学とは、頭蓋・顔面の成長発育の研究、ならびに不正咬合やその他の歯、顎、顔面の異常の予防と治療を取り扱う歯学の一分野であると定義されている。


わたくし国際歯科用語定義集なるものの存在さえ知りませんでした。お恥ずかしい。勉強になります。まとめると


歯科矯正学とは

1、首から上の成長発育の研究

2、不正咬合やその他の異常の予防と治療

これら二つを取り扱う歯学の一つの分野というように定義されているようですね。言われれば確かにねという感じです。現場の私達はあまり定義とかには関係なく、いつも走っているって感じですからね。次に書いてあることは、歴史的なことでした。


歯、顎、顔面の不正については、Hippocrates(460~377B.C.)が、顎顔面頭蓋の奇形について最初に言及した人であり、


ヒポクラテスって紀元前の人だったっけ・・・そうか・・・、しかも400年も前・・・。そんな記録が残っていることさえ奇跡的のような気がしますが・・・。でも彼が顎顔面頭蓋の奇形に最初に言及したんですね。知らなかった・・・。覚えておきましょう。

紀元前25年にローマの医師Celsus C.が不正な位置にある歯を指圧で正しい位置に矯正することを試みている。


紀元前にローマには医師という職業の方がいらっしゃったんだ・・・とそっちのほうにびっくりしました。日本はまだ聖徳大使がでるまでにまだ600年以上前ですよ。信じられない。その人が、すでに力をかけ続ければ、永久歯が移動することを書き残しているんだ。うーん昔の人は決して無知な人じゃないんですね。続く文章はこうです。


18世紀にフランスのPierre Fauchard(1678~1761)が、機械的な装置を用いた矯正治療を発表して以来、19世紀後半にアメリカでも数多くの不正咬合の治療に関しての論文が発表された。


1700年ぐらいとんで、やっと機械的に歯を動かす装置ができたんですね。それはフランスだったんですが、その後19世紀からは、アメリカがその発展の場となったわけです。そしてついにこの方が出てきます。
徳島の矯正歯科治療専門医院-アングル E.H.Angle
とくに、アメリカではEdward. H. Angle(1855~1930)が、矯正専門医の学校を1900年に設立し、不正咬合の矯正装置体系を発表して以来、近代歯科矯正学としての学問が新たに確立された。
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さすがにこの方は知っておりますよ。もう矯正を学んだ人は知らない人はいないという人です。まあ歴史的重さから言うと、秦の始皇帝、ローマのシーザー、大和の聖徳太子、アメリカ大統領のワシントンクラスと思っていただければいいと思います。以後このアングル先生の弟子達が色んな方面に活躍して、現代の矯正治療のテクニックが百花繚乱状態になっているわけであります。


歯科矯正学(orthodontics)の語源は、ギリシャ語の”orthos”-まっすぐ(正しい)の矯正の意味と、”odontos”-歯という意味の2語から由来したものである。


これもわたくし知りませんでした。もちろんorthodonnticsという言葉は知っています。私のロゴマークにも入っています。
徳島の矯正歯科治療専門医院-ロゴマーク1

これは英語ですが、語源はギリシャ語だったんですね。お勉強になりました。


では次に「1-2 矯正治療の目的」 に移りましょう。この章の冒頭にこうあります。


矯正治療の目的は、不正咬合によってもたらされる生理的、心理的な障害を取り除くことであり、咬合の不正、顔面頭蓋の成長異常および、口腔領域の神経筋機構の機能不全に対して行われるものである。


専門家の私でさえ、じっくりゆっくり読まなければ理解できないので、皆さんも同感だと思います。意訳すると、咬む機能を回復し、綺麗に美しくなるということが目的ということですかね。その目的のために、歯を動かしたり、成長期なら成長をコントロールしたり、筋肉の使い方を指導したりするよということですかね。これも筆者にきかないとよくはわからないですね。続いて次の文章があります。


Tweedは矯正治療の目的としてつぎの項目をあげている。
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1、能率的な咀嚼機能

2、治療後の歯列の安定

3、健康な口腔組織

4、顔貌の平衡と調和


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Tweed先生はだいぶわかりやすく言ってますね。この言葉、実は当たり前でしょと普通の人は思うでしょうが、不正咬合や顔面の不調和がある人に対して、治療後にこの4つを全て満たすように仕上げろといわれると、治療する側は相当に知識、経験、技術、協力がないとできないものなんです。一つや二つの達成でOKならもう簡単なんですが、全てをというのは、相当腕がなければ難しいんですよ。Tweed先生は本質を言い抜いていますね。さすがです。すごい!!! 最後に矯正治療の意義です。


矯正治療の意義

矯正治療は、不正咬合による生理的、心理的障害を取り除く目的で行われるものであり、患者に対して肉体的・精神的な利益をもたらすためである。矯正治療には、それぞれのフィロソフィーの違いから、種々なる装置が用いられているが、もっとも理にかなった装置により、個々の歯を審美的にも咬合機能の面からも、また、口腔の保健は講音のうえからも、よりよい位置に改善することが必要である。


うーん難しくて私も難解です。解説はパス・・・。次の文章はわかりやすいですから。


矯正治療によって得られた、安定した正しい咬合は、口腔の諸組織を健康な状態に保持し、調和のとれた顔貌をつくりだすことができる。最近、歯科臨床において、学問・技術の多様化が進み、より専門的な高度の医療が要求されるようになった。人間の健康福祉のために最大の医療を行うためには、それぞれ専門的な立場における最大の知識と技術が要求される昨今である。矯正治療も単独だけでなく、他科とのプロジェクトチームによる治療を行うことにより、より良い咬合の改善が行われ、真の矯正治療の意義がみられるものである。

(以上 歯科衛生士教育マニュアル 歯科矯正学 編集出口敏雄ら クインテッセンス出版より抜粋)


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いかがでした。ちょっと今日は膨大になりましたが、お休みの午前中わたしも書きながら、とても初心に帰ったようで、いいお勉強になりました。それではまた。


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