この作品も邦題ミスという感じです。予告やチラシでは買った家には「12時間進むが肉体が3日若返る」という、SFホラーチックなコメディを予感させるのですが、もうひとつ、下ネタ極まりない話の軸があるのです。主人公のアランの嫁がその若返りに執着するのと同じくして、彼の会社の社長で親友のジェラールが電子ペニスの手術を受けたと告白を受ける話が持ち上がります。80分足らずの短い上映時間の中で時間配分も考えれば、そっちも主軸のひと筋であるワケで、この放題はいただけないと思います。
作品はどうか、と言うと、SFホラーベースのコメディです。新居の穴は1年若返るのにおよそ2ヶ月を必要とするワケで、あまり現実的なシステムではないのです。かつてモデルになりたかったアランの嫁マリーはそれに執着して精神を病んでいく。それに合わせるように社長で親友のジェラールは電子ペニスを手に入れるが、事故で故障させてしまい、その修理に日本に行く辺りから多くの不幸に見舞われ続ける。最終的に言いたいコトが女性は若さ、男性はペニスという男根主義の怖さと愚かさを表現しているのだと思います。ジェラールはペニスだけでなくスポーツカーにも執着していて、これも前時代の男根主義の象徴のひとつとして挙げられるものだと思います。そのふたつの視点も結局は男目線の男根主義な内容だとも思います。
今作が秀逸だと思うのは、上映時間を短く簡略化していたたあたり。物語中盤でアランの回りではマリーとジェラールが人生を転落していく様子が見て取れるワケで、オチはおおよそ予想がつくトコロ。そこを映像的な表現で非常に短い処理で見せ、それは人生の儚さを思わせるなかなかな秀逸な仕上がりだと感じました。