テルマ』『ヘレディタリー/継承』を観てきての今作、感じるところは家族という恐怖かな、と。ホラー作品としては超常的な力に屈服せざるをえない怖さが際立っていますが、その中に描かれている家族像の怖さ、家族が故の恐怖が演出されているところが特徴的であり、現代的なホラーの描写だと思います。

 

今作において、ポイントとなるのが主人公の転換。物語が展開していくに3人の主人公が交代していくのが特徴的だと思います。最初の主人公、夫として父親として頑張る秀樹は承認欲求の化物。家族をあくまでその道具としてしか見ていない。それが故に目に見えているのは現実ではなく、みんなに好かれている“であろう”自分の姿のみ。ふたりめの主人公はその妻、香奈。母子家庭で母親に恨み言を言われて育ち、理想とする家族像を求め結婚するも、夫が先に書いたような人物で家族に挫折をまた味わされている。最後は秀樹と香奈を襲う怪現象に関して相談を受けたオカルトライター。彼は家族を持つことを恐れ、付き合っていた彼女の妊娠にも喜べず、堕胎したことにも悲しめなかった過去が鍵になってくる。

これだけでも人間の暗い心の闇を浮き彫りにしている上、それぞれの役を演じる妻夫木聡さんや黒木華さん、岡田准一さんの演技がとても良かった。クソっぷりあふれるの妻夫木聡さん、不幸の陰と色気がある黒木華さん、ドブ臭い岡田准一さんと彼らの演技があってこそ、この作品に纏わりついてくるアレが更に恐ろしい。

アレの描写に関して言えば、伊集院光さんの言うようにホラーのシン・ゴジラ。最後にその姿を表してくるアレの演出は、それこそ人が抗うにはあまりにも驚異的なのが良かったです。アレの正体的な話で言えば、日本らしい神話的なアプローチで、そこにも古い因習であったり家族というテーマがそこにも見えていて面白かったです。