来年「下請法」が大きく変わります。 正式には「下請代金支払遅延等防止法」と「下請中小企業振興法」の改正で、施行は令和8年1月1日です。


https://www.jftc.go.jp/partnership_package/toritekihou-gaiyo.pdf


 背景にあるのは、ここ数年の人件費・原材料費・エネルギーコストの急激な上昇です。

 これまでは「値上げ交渉をしても、親事業者が全く取り合ってくれない」「据え置き一択」という声が中小側から多く上がっていました。  

 そこで国は、サプライチェーン全体で適正な価格転嫁を根付かせる“構造的な価格転嫁”を進めるため、法改正に踏み切っています。


主なポイントは3つです。

1つ目は「協議を適切に行わない代金決定の禁止」。

 値上げ要請に応じず、説明もせずに一方的に価格を決める行為が、はっきりとNGになります。


2つ目は「手形払い等の禁止」。

 支払期日までに現金化が難しいような支払手段はまとめて禁止され、キャッシュフローの不安定さを是正していきます。


3つ目は「対象の拡大」。

 製品を届けるための運送委託も規制対象に入り、さらに従業員数基準(製造等300人、役務100人)が追加されることで、保護される中小事業者の範囲が広がります。


 加えて、用語も「下請事業者→中小受託事業者」「親事業者→委託事業者」などに改められ、時代に合わせた取引実態に合わせた形へとアップデートされます。


 発注側にとっては「これまでの慣行の見直し」が必要とされ、受託側にとっては「交渉の後ろ盾が強化される」改正です。

 今のうちから契約書・支払条件・価格交渉の社内ルールを棚卸しし、令和8年の本格施行に備えていきましょう。




これは実際にあった話を元に少し改変している話です。

 

「現金売上の“日次抜き取り”と社長の財布」

 

 飲食店を営む法人。
 売上はレジで管理しており、月次の帳簿上も違和感は少ない。

 しかし調査官は、レジ締め表と実際の預金入金額を照合しながら、

「この日からこの日にかけて、毎日数万円単位で“預金されていない現金”がありますね。どこに行きましたか?」

 

 社長は「現金で仕入れを払った」「小口で使った」と説明するも、根拠となる領収書は出てこない。
 日次のレジ締め・金庫・預金入金を追うと、以下が判明します。

  • レジ締め上の売上:10万円

  • 実際に預金された額:7万円

  • 差額3万円は、その日のうちに社長が引き出して“私的な支出”にしていた

 

結果

 

 

 「レジ締め表 → 日計表 → 総勘定元帳 → 預金入金」の流れを、日単位で追われた結果、毎日少しずつ抜いていた現金が積み上がって否認されました。

 税理士は月次でしか資料を受け取っておらず、日次のズレまでは把握できていませんでした。

 

 

税理士さんとの話でそんなことを思い出しました。

 

 

・現金商売 + 日々の「誤差」は、必ず疑われる

・税務署は日次レベルで売上・レジ・預金を突き合わせてくる「ちょっとずつならバレない」は、ありえない

 

 

 今回の件も、領収書などがあれば特に問題にならなかったことかもしれません。

 実際そうではなくても、少し特殊なことや新規事業をやっているときなどにも脱税が疑われてしまうこともあります。支払いに関しての証拠は確実にしましょう。

 日々の行いが脱税と疑われることにならないように、、

“取締役=責任者” がNGな典型例|業種例をわかりやすく解説

 

 「うちは関係ないだろう」と思っている事業者ほど危険です。

 また、M&Aの際にもこの部分の確認が十分でなく、買った直後に許可がなくなるということもありますので十分な注意が必要です。
 実際には多くの許認可が 特定の責任者を置くこと を義務付けています。

 ここでは、取締役が退任しただけで許可が止まる(法違反になる)典型例をご紹介します。

① 産廃業(収集運搬・処分)

責任者:業務管理者(専任・講習必須)
取締役が担当 → 退任した瞬間に違法状態。
行政指導→業務停止に直結。

② 建設業(許可業者)

責任者:常勤役員等(経営業務管理責任者に代わる者=経管代行)
取締役変更は 変更届(30日以内)必須
遅れると行政処分リスク。

③ 古物商

責任者:管理責任者
専任性あり。
取締役が退任=管理責任者不在 → 許可違反。

④ 酒類販売

責任者:酒類販売管理者(専任)
退任・退社で 2か月以内の変更届 が必要。
遅延すると指導対象。

⑤ 安全衛生(労働安全衛生法)

衛生管理者・安全管理者(専任)
不在は法令違反となり、罰則もありうる。

⑥ 食品衛生

食品衛生責任者(店舗ごと)
辞任で 営業停止になるケースあり

⑦ 電気工事業

責任者:選任技術者(電気工事士)
常勤要件。
退任=欠格状態。

⑧ 旅館業

責任者:施設管理者・営業所管理者
退任すると即アウト。営業不適格に。

 

 

 上記は一例ですが、取締役が責任者を兼任しているという場合はしばしば見落とされるところです。

 

 

 次回は、このようなリスクをどうやって回避するのか?を解説します。