来年「下請法」が大きく変わります。 正式には「下請代金支払遅延等防止法」と「下請中小企業振興法」の改正で、施行は令和8年1月1日です。
https://www.jftc.go.jp/partnership_package/toritekihou-gaiyo.pdf
背景にあるのは、ここ数年の人件費・原材料費・エネルギーコストの急激な上昇です。
これまでは「値上げ交渉をしても、親事業者が全く取り合ってくれない」「据え置き一択」という声が中小側から多く上がっていました。
そこで国は、サプライチェーン全体で適正な価格転嫁を根付かせる“構造的な価格転嫁”を進めるため、法改正に踏み切っています。
主なポイントは3つです。
1つ目は「協議を適切に行わない代金決定の禁止」。
値上げ要請に応じず、説明もせずに一方的に価格を決める行為が、はっきりとNGになります。
2つ目は「手形払い等の禁止」。
支払期日までに現金化が難しいような支払手段はまとめて禁止され、キャッシュフローの不安定さを是正していきます。
3つ目は「対象の拡大」。
製品を届けるための運送委託も規制対象に入り、さらに従業員数基準(製造等300人、役務100人)が追加されることで、保護される中小事業者の範囲が広がります。
加えて、用語も「下請事業者→中小受託事業者」「親事業者→委託事業者」などに改められ、時代に合わせた取引実態に合わせた形へとアップデートされます。
発注側にとっては「これまでの慣行の見直し」が必要とされ、受託側にとっては「交渉の後ろ盾が強化される」改正です。
今のうちから契約書・支払条件・価格交渉の社内ルールを棚卸しし、令和8年の本格施行に備えていきましょう。