行政書士としてお伝えしたい「確認の徹底」
10年ほど前ですが、イラクのディナール貨幣を使った投資詐欺がありました。
「もうすぐ国家通貨が切り替わり、価値が100倍になる」
「国連が復興資金として流通させる」
など、もっともらしい文言で勧誘され、多くの人が高額購入させられています。
しかし、ディナール高騰説は根拠がなく、金融庁や複数機関が“典型的な詐欺話法”として注意喚起を出しています。
ここで重要なのは、
詐欺の本質は“商品そのもの”ではなく、“確認しない心理”を突いてくる
という点です。
そして、この構造は不動産の「地面師事件」や暗号資産詐欺など、すべての詐欺に共通します。
行政書士として、日々さまざまな相談を受ける中で感じるのは、
「確認すべきことを確認しなかった」被害が圧倒的に多いと
いうことです。
ここでは、ディナール詐欺を例にしつつ、詐欺を見抜くための実践的ポイントをまとめます。
1. 「なぜ値上がりするのか?」を説明できない投資は100%アウト
ディナール詐欺の特徴は、説明が“抽象的”であることです。
・「国際金融の仕組みで上がる」
・「アメリカが復興支援するから価値が跳ね上がる」
・「銀行や証券会社は一般人に情報を出していない」
これらは典型的な詐欺話法です。
金融の世界で、根拠を示さずに「絶対儲かる」と言うことはあり得ません。
行政書士としてお伝えしたいのは、
“根拠が不明確なものには手を出してはいけない”という極めてシンプルな原則です。
2. 証拠・契約書・身元を「徹底的に」確認する
詐欺の大半は、
相手を信じすぎた結果おこるものです。
地面師事件も、本人確認を怠ったところに付け込まれました。
(例)
・所有者の本人確認を怠った
・登記簿の原本性を確かめなかった
・代理人の資格確認をしなかった
・提出資料を「本物だと思い込んだ」
ディナール詐欺にも同じ構造があります。
【確認すべきリスト】
□ 発行・流通の根拠資料
□ 価格上昇の合理的説明
□ 販売者の身元情報(住所・登記・連絡先)
□ 契約書(不当条項がないか)
□ 金融庁の警告リストに該当しないか
□ 知人を介した「口コミ型勧誘」ではないか
□ SNSだけで完結する取引ではないか
この7点のどれかが曖昧なら、100%距離を置くべきです。
3. 「専門家を使わせない」誘導は詐欺の常套手段
詐欺師は必ずこう言います。
「専門家に相談しなくていい」
「行政書士や弁護士はこの仕組みを知らない」
「相談したらチャンスを逃す」
これは地面師でも、暗号資産詐欺でも、ディナール詐欺でも共通のパターンです。
専門家に相談されると“嘘がバレる”からです。
行政書士としてはっきり言えるのは、
「相談するな」と言ってくる人間ほど相談すべき相手は専門家である ということです。
いまだに非常に多いです。
実際さまざま専門もありますのでわからない方もいますがわかる方もいる、という感じでしょうか。
とは言え嘘みたいなほんとの話もあるのでそこは論文検索などをしていく必要があるようにも思います。
4. “儲かる話”に潜む心理操作を理解する
詐欺師は金融の知識ではなく、
人間心理のプロです。
・限定性
・秘密性
・権威性(偽の肩書き)
・緊急性
・仲間意識
これらを駆使して、“確認する自由”を奪ってきます。
「あなたにだけ教える」
「今日が最後のチャンス」
「銀行員も買っている」
という言葉が出た瞬間、疑うべきです。
また、よくある話ですが、騙された人が無意識で人を騙すことに加担してしまうということも非常に多いです。
信用していたのに・・・・・
という話は毎日のように聞きます。
5. 最後に:最も強い防御は「確認を怠らないこと」
詐欺は知識ではなく、
確認の習慣があるかどうかで防げます。
・契約は書面化
・身元確認は徹底
・根拠の提示を求める
・専門家に相談する
・焦らされても即決しない
行政書士として数多くの相談を受ける中で、
“確認していれば防げた被害”を何度も見てきました。
ディナール詐欺も、地面師事件も、本質は同じです。
「確認しない人を狙う」
だからこそ、
確認を習慣化する人は狙われなくなります。
