許認可に関する手続きは、業種によっては事業の根幹に関わる非常に重要なプロセスです。
にもかかわらず、企業の中では「総務が何となくやっている」「社内に詳しい人がいない」など、担当者任せになっていることも少なくありません。
しかし実際には、行政対応には“体制的に起こりがちな落とし穴”がいくつも存在しています。
今回は、許認可担当者として意識すべき「あるある」と、それに対する備えについてご紹介します。
あるある① 数年に一度、担当者が変わって振り出しに戻る
行政の担当者は、人事異動で数年に一度入れ替わります。
前任者と丁寧にやりとりを重ねていたのに、次の担当者が「そんな話は聞いていません」と言ってきた瞬間、これまでの交渉が振り出しに戻る――
これは、行政あるあるの最たるものです。
問題は、これが企業側のせいではなくても、「申請が遅れる」「追加書類を求められる」など現実的なコストが発生することです。
あるある② 担当者によって言うことが違う、確認ごとに変わる
「前回はOKだったのに、今回はダメと言われた」
「電話対応の担当と窓口対応の担当で、言っていることが正反対」
これも行政対応では頻出です。行政には運用解釈の余地があるため、判断が人に依存することがあります。
担当者によっては法令の捉え方が異なり、確認のたびに回答が揺れることもあります。
このような場合、感情的になるのではなく、会話を記録に残す、書面での確認を求める、上席との面談を申し出るなど、冷静かつ戦略的に動く必要があります。
あるある③ 法改正に対応しきれていない
行政側も、常に完璧に法改正に追いついているわけではありません。
特に、新制度や緊急的な制度改正(例:特定技能、補助金関連、コロナ対応施策など)のときは、内部でも対応がバラバラなケースが見受けられます。
その結果、「申請書式が複数存在する」「提出先の窓口が分かれている」「自治体ごとに解釈が異なる」など、現場に混乱が起きやすくなります。
解決策:制度ではなく“運用”を見る。そして記録と共有を徹底する。
上記のようなトラブルは、制度の設計というより、現場の運用体制の問題です。
担当者個人のミスというより、「人に依存する構造」が原因で起こっていることがほとんどです。
だからこそ企業側としては、
- 過去の対応履歴ややりとりを記録しておく(議事録、提出書類、回答記録)
- 変更があった場合に備えて「複数の根拠」を持つ(法令・通知・メールのやりとり)
- 引き継ぎやすい社内体制を作る(許認可台帳の作成、対応履歴シートの整備)
といった、運用でカバーする体制整備が求められます。
まとめ:行政対応は「人の仕事」であることを前提に
許認可申請は、法律に基づく手続きであると同時に、「行政の担当者と向き合う仕事」でもあります。
そのため、書類だけを整えても解決しないことも多々あります。
大切なのは、「相手が変わっても、自社としての対応品質を維持できる体制」を作ること。
そして必要であれば、外部の専門家(行政書士など)を適切に活用することで、リスクを抑えることも可能です。
もし「なんとなく毎年やってるけど、不安がある」「許認可が増えて対応しきれない」ということがあれば、一度ご相談ください。
外部の視点だからこそ、見える課題や改善策もあります。
行政対応でお悩みの方がいらっしゃいましたらアドバイザー、顧問としてお手伝いさせていただきますのでご相談ください。