【セキュリティ総点検】
アサヒ、ランドローバー、エアバスのトラブルが示す“企業の弱点”とは
—見直すべきは「一部の部署」ではなく“組織の全体構造”
最近、立て続けに「大手企業ほどセキュリティが脆弱だった」ことを示すニュースが報じられています。
アサヒHDの大規模情報漏えい、ランドローバー車両が最新のリレーアタックで無力化された件、そしてエアバスで発生したシステム障害・納入遅延問題。
こ れらは単発の事件に見えますが、本質的には “現代のセキュリティ課題を象徴する同じベクトル” を示しています。
そ れは、「複雑化した社会で、従来のセキュリティ前提では企業を守れない」 ということです。
アサヒHDの情報漏えいが示した「ガバナンスの穴」
アサヒHDでは、委託先企業の管理不足が原因で大量の個人情報が漏えいしました。
ポイントは、
「大企業=セキュリティが強い」という幻想が崩れた ことです。
実際は、
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委託先の管理
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情報アクセス権の運用
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社内共有フローの不整備
など、人と組織の構造的な問題が積み重なった結果でした。
特に今は、生成AI・クラウド活用・外部委託が当たり前になり、会社の“外側”に情報が広がる時代。
自社だけ対策しても守れない構造になりつつあります。
ランドローバーに起きた「最新リレーアタック」は“物理のセキュリティ崩壊”
ランドローバーではスマートキーの電波を悪用するリレーアタックにより、最新モデルですら短時間で盗難されるケースが続出しました。
これは、
「デジタルの時代ほど、物理セキュリティが弱点になる」
という事実を象徴しています。
今の攻撃者は、鍵を破るより“システムの隙”を狙います。これは企業でも同じです。
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入館証
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オフィスのスマートロック
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IoT機器の導入
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通信機器の脆弱性
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在宅勤務環境のゆるさ
これら“物理とデジタルの境界”が曖昧な場所が、最も破られやすいポイントです。
エアバスのトラブルが示す「サプライチェーンの脆弱性」
エアバスで発生したシステムトラブルは、航空機の納入遅延や安全性への懸念まで波及しました。
背景には、
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サプライヤーのデータ連携不備
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生産ラインのソフトウェア障害
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認証システムの複雑化
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部品追跡の透明性不足
などが指摘されています。
こ れもまた、**「自社のシステムだけ守っても不十分」**の典型例です。
製造業からITまで、今や企業は
“多層構造のネットワーク”として存在しているため、
どこか1社が穴を開けるだけで連鎖的な被害になります。この被害の連鎖を食い止めるポイントをあえて作っておくこともBCP的観点からも、またデジタルだけでなくアナログな観点含めて非常に重要であるでしょう。
今こそ必要なのは「境界なきセキュリティ思考」
以上3つのニュースから共通して言えるのは、
「セキュリティは“点”ではなく“面”で考えないと成立しない」
ということです。
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IT担当だけに任せる
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工場だけ強化する
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重要情報だけ暗号化する
という部分最適化では攻撃者には勝てません。
必要なのは、
人・物理・デジタル・サプライチェーンの“統合的なセキュリティ”
ということであるでしょう。
これは単に対策を増やすのではなく、“弱点そのものを作らない仕組み” に変えるということです。
これらニュースは他人事ではない
アサヒも、ランドローバーも、エアバスも、
世界的ブランドであり、巨額のセキュリティ予算を持つ企業です。
それでも破られる。
それでも漏れる。
それでも止まる。
ならば、私たち中小企業や個人事業者はどうすべきか?
答えはシンプルで、
「今すぐ見直す」ことです。
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委託先管理
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入退室管理
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情報アクセス権
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IoT機器の認証
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スタッフ教育
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サプライチェーンの透明性
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物理的な電磁防護(EMP・電磁波対策含む)
これらを一つずつ整えていくことこそ、次のトラブルを未然に防ぐ最も現実的な方法です。
私もデジタルとアナログの両面からセキュリティを考え、対策をするコンサルティングを個人的にも組織としても提案しています。
ご相談お問い合わせは下記まで、
徳川綜合法務事務所公式 tokugawa.houmu@gmail.com
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