近年、AIの利用において「指示していないことをAIが勝手に進めてしまい、損害が発生する」という事例が報告されています。実際にはAIが意思を持って行動しているわけではありません。しかし、ユーザーの意図しない「隠れた指示」や「セッション情報の残留」、あるいは外部システムとの過剰な自動連携によって、予期せぬ動作が起きることがあります。
例えば、過去にログイン履歴があるサイトとAIが連携している場合、ユーザーの明示的な操作なしに自動発注や処理が行われてしまうケースがあり得ます。これは従来のRPAや自動化システムの誤作動リスクに近い現象ですが、AIの場合は「自然言語での曖昧な指示」が原因となるため、利用者が気づきにくいという特徴があります。
こうしたリスクに対しては、開発者が以下の点を重視する必要があります。
- 指示のログ管理と可視化:どの指示が残っており、どのように解釈されたのかを追跡可能にする。
- ユーザー確認の必須化:金銭や権限を伴う行動(発注・送金・削除など)には必ず二重確認を挟む。
- 利用範囲の制限:AIに外部システムへのアクセス権限を安易に与えない。
- 透明性の確保:利用者に対して、AIがどのような仕組みで判断しているのかを説明できる仕組みを用意する。
AIはあくまで「強力なツール」であり、人間の意思決定や監督が不可欠です。開発者と利用者の双方が「AIは万能でも完全自律でもない」という理解を持ち、ガバナンスと安全設計を徹底することが、今後ますます重要になっていくでしょう。
利用する際は気をつけましょう。