
『カイジ 人生逆転ゲーム』を観てきました。
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以下感想。(ネタバレ注意)
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観終わった後に思ったことは、
「あ、これ原作未読の人と既読の人で感想違うな・・・」
それ位、原作と違っていました。
原作をまだ読んでいない!そういった方は、「あえて」本映画の為に原作を読んで知識
を付けてから観に行くというのはしないで。映画観終わった後に原作を読むことをオス
スメします。
一応、未読の方も既読の方でも、後半の「ざわ・・・ざわ・・・」の連続は熱くなれる
と思います。

カイジ役の藤原さんのあの「すごい悶えるように出す苦しそうな声」の演技も健在でし
た。他の役者のかたも同様、トネガワ役の香川さんも緊迫感あふれる演技でした。
友情出演ってだけあって松ケン、思ったよりも出なかった。
(にしても、松ケン。なぜ断末魔が悪役っぽいのだろう。。。)
さてストーリーの感想ですが、やはり2時間の上映時間に詰め込もうとちょっと展開が
駆け足だった印象。それゆえに、ひとつひとつの見せ場が若干少なめに感じてしまいま
した。(今作では「限定ジャンケン」「鉄骨渡り」「Eカード」と3つのゲームをやる)
知略と策略がメインの原作なので、もっと裏の裏の裏まで描いて欲しかったのですが、
難しいんだろうなやっぱ。
あと個人的に、これは無いだろうと思ったのがBGM。
「もういちど人生をやり直すんだ!」とかカイジやらが咆哮するシーンで、結構感動的
な音楽がかかるんですが、ソレがすこぶるカイジっぽくない!そして、たとえ未読の方
でも、そこのシーンで胸を打たれることはないとおもうんですよね。なぜなら、カイジ
含め、他の参加者のいかに自堕落で人生投げてる感を十分な時間描ききれてないから、
感情移入するには時間が足りなかった。「あ~、カイジ立ち直ろうとしてる。がんばれ!」
って気持ちになるには時間が足りなかった。そう思います。
あえて言いますが、映画じゃなくてドラマだったらもっと違ってたと思います。
なので全体的に物足りない感じが付きまとうのと、オチがやけにポップ調だったのもい
ただけない。いや、ポップぽさもあっていいんですけど、なんか違う。
なんか「トホホ・・・」とか「もう逆転ゲームはコリゴリだ~」みたいな終わらせ方が、
え?いままであんな命を懸けてやってきたのに、なにこの雰囲気!?ってなって、なん
か浮いてた感じがしました。ED曲もYUIさんてのもまた・・・
いい曲でした。でもカイジにはYUIさんじゃねぇーなって感じです。
さて、そろそろ原作との相違も含めた感想ですが・・・
自分も原作をよくは知らないですが、以前深夜にやっていたアニメ版は1話から最終話
まで観たので、少なくとも映画でやってるまでの話は知っています。
細かい説明も福本先生信者の弟から聞いているので、それを踏まえてですが、
超イマイチ
順を追って話しますと、まずカイジをこの命を賭けるゲームに参加させるキッカケを作
った「遠藤」というキャラが、原作と違い女性(天海さん)が演じています。
まぁ、ソレくらいは別にいいかなと思ってたんですよ、原作で遠藤はカイジを参加させ
る位の出番しかなかったので。
でも本作ではこの遠藤がガッツリカイジと絡みます。
そして納得いかないのが、遠藤がカイジに入れ込むのと、自分の組織に対して不満を持
つところです。鉄骨渡りを見ていて「悪趣味だわ!」というセリフ。
いやいや、そういうゲームでお前は敵側の人間なんだから徹しろよと。
そしてなぜ、おまえはそんなにカイジに入れ込むのか!?と、原作ファンはこの遠藤女
性化はこの映画においての最大に失敗だったと思うところでしょう。
ほんとにいらないカイジと遠藤のラブ展開(ラブ展開ではないですがw)など。
一応セリフなどは、のちの「沼パチンコ」編からの物を使ってるとはいえ、やはり違和
感がありました。
次に、エスポワール号での限定ジャンケンですが、ここで出てくる原作キャラは船井と
石田のおっさんだけ、みんな大好き「安藤」は出てきません!
カイジは石田のおっさんと手を組み、船井を出し抜き勝利します。
その後で、石田のおっさんとあいこじゃんけんで勝ち抜けをしようとしますが、なぜか
全部のカードを使い切ったと思いきや、石田「カイジ君ごめん、カードがまだ残ってた」
と、出所不明のカードのせいで石田が敗北してしまいます。
しかし、カイジもチームでの敗北だからオレも敗者だと、敗北を宣言します。
そして、二人して地下に送られるんですが、原作の地下労働場での「チンチロ勝負」
は、ありません!なぜ地下に送ったし・・・
原作まんまでよかったんじゃないかな~。。。
いまとなって思えば、遠藤へのカイジが言ったビールをおごるというセリフのためだけ
に地下に送られた感が。。。
この後で、鉄骨渡り編へと話が進んでいきます。
イマイチ迫力がないですが・・・。ちなみに「透明な横階段」、ありません!
普通にわたり終え、風圧に佐原だけ破れて、カイジは生き残ります。
そしてEカード編へ。
ちなみにここでカイジは目か耳を賭けません!
鉄骨渡りで獲得した賞金で(1000万でしたが借金返済などで結局手元には70万くらい)
勝負をします。そして、このゲームで意味不明シーンがあります。
それは奴隷カード側のカイジが、初手でもう勝負をかけようと市民カード3枚をトネガワ
に解るように捨てるシーン。当然カイジの手元には市民1枚と奴隷1枚のみ。
トネガワは2回市民を出せばいいだけという、100%負ける勝負をカイジがなぜか仕掛けま
す。そして当然ながら負けると。
血迷ったか!?カイジ!!
んで、元手がなくなったカイジは遠藤から5000万借りて再勝負するという流れになります。
ここら辺の演出や演技などはこの映画最大の見せ場で、おもしろかったです。
カイジは見事トネガワに勝利し、数億円獲得します。
そして、この後のシーンについてですが・・・
あ、このシーン目当てで映画観ようとしてる方にここで言っておきます。
『焼き土下座』、ありません!
How to 焼き土下座【ショッキング表現注意】
もう、この時点でがっくりきたのと、ソレに合わせてと言う形になってしまったのかわ
かりませんが、トネガワがヘタレ気味になっており、カリスマ性がなくなってます。
焼き土下座強要を拒み、自分でやるトネガワではなく、地下に送られることになったト
ネガワの「自分で行く」というセリフには、なんの男気も感じられず、原作で有名なセ
リフだったから入れといた的な雰囲気がなんとも残念でした。
かくして、大金を獲得したカイジですが、遠藤に大半ちょろまかされます。(※ここは
一応原作基準)
そして、挿入歌のYUIさん歌が流れエンディングへ・・・。
こーんな感じでした。
映画の話し、演出自体は見ごたえがあってよかったんですが、やはり原作の奥深さまで
は表現しきれず。。。しょうがないところではありますが。。。
よくこの手の映画のとき「映画は映画で、原作は原作で面白い」という意見を聞くし、
自分も言うんですが、カイジは残念ながら「映画は無いな」という感じでした。