困りますねぇ・・・ | あづまの書斎

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基本的には私が読んで面白かった本のご紹介です。
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円高は困る? ブログネタ:円高は困る? 参加中
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勤め先は輸出もやっていて、売り上げに占める海外向けの割合が決して無視できない大きさだから、円高はかなり困りますねぇ・・・。
円が高いとお客様が買ってくれないか、当社の利益が薄くなるかのどっちかしかないですからね。

海外のお客様向けに販売する時は、お客様との間で価格を円にする (円建て契約) か外貨にする (外貨建て契約) かを予め決めておきますが、いずれの場合も円は安いほうが当社にとっては有利です。
具体的な数字で説明すると、


円建てで10,000円で契約

1ドル=100円の場合
お客様は 10,000÷100=100で、100ドルを当社に支払う

1ドル= 80円の場合
お客様は 10,000÷80=125で、125ドルを当社に支払う

お客様にとって価格が1.25倍になっていますが、これでイマイチ ピンとこない方は、あくまで例えばの話しでですが、

消費税が25%になったとお考えください。


家計への影響は深刻で、より安いものを探すはずです。
そんな時、 (一部の法により非課税とされているものを除いてはまずそんなことはないわけですが) 消費税なしでいいよ、なんてことを言ってくる人がいたら、そちらに関心がいくだろうと思いますが、当社にとってはその 『消費税なしでいい』 ということをお客様に対して言うのが海外のライバルメーカーになるわけで、円が高くなるとお客様が価格の安い海外のライバルメーカーの製品を選ぶことで当社の製品が売れなくなる可能性があるわけです。


次に、ドル建てで、100ドルで契約したとします。

1ドル=100円の場合
当社は 100×100=10,000で、10,000円をお客様から受け取る

1ドル=80円の場合
当社は 100×80=8,000で、8,000円をお客様から受け取る

当社がお客様から支払っていただく額が8割になってしまっていますが、イマイチ ピンとこない方は、あくまで例えばの話しですが、


手取り25万の月給が手取り20万に減給されたとお考えください。

家計への影響は、いちいち説明するまでもなく深刻であると思われます。
企業にとっても売値が2割も下がってしまうというのは深刻で、元々利益の薄い製品でしたら製造中止に追い込まれることになるでしょう。


このように、円高は輸出をやっている企業にとっては非常に困るわけで、『円で作る』 限りは円高の影響を避けるのは非常に難しい (また、部品を作って海外ではなく、日本のメーカーに納品している場合でも、その日本のメーカーが輸出をやっている場合、やはりその日本のメーカーが円高で苦戦すれば部品メーカーもその影響を受けることになる)。
そこで、近年、『円以外の通貨で作る』、つまり、海外に工場を作って製品を製造し、そのまま海外に売るという流れが加速しています。

メーカーが海外に製造拠点を作る動きは、日本と比較して安い人件費の労働者を確保と (災害等により工場がストップするなどの) リスク分散、原材料の調達と製品の出荷にかかる輸送コストと輸送時間を節減することを目的として、10年以上前から行われていますが、近年の円高を背景としていよいよ加速しています。
これらの流れについて、マスコミ等では産業の空洞化が問題としてよく取り上げられますが、もう一つ私が心配しているのは、工場周辺地域の経済活動が停滞することです。

私が勤めている工場は、近畿地方の割と辺鄙なところにあります。
工場以外には観光するようなところもなければ、京都・大阪・神戸といった都市部へ通勤するのにも時間がかかるため、ベッドタウンとしても魅力がない。なのに、最寄駅周辺にはコンビニもあれば居酒屋も何件かあります。
つまり、私が勤めている工場の従業員がそれらのお店の主なお客さんになっておりまして、いわば企業城下町のような様相を呈しております。
工場では管理部門・製造部門を合わせて1,000人以上の人間が働いておりますが、仮に、海外進出に伴ってこれらの人員が半分に削減とかなった場合は、地域経済に与える悪影響は決して小さいものではないでしょう。
ですので、円高は輸出をやっている企業だけではなく、その企業のある地域全体にとっても心配の種であると言えるでしょう。

製造業だけではなく、もっと幅広い問題であるとの認識の下、政府・日銀には対策を講じていただきたいものです。