遠野放浪記 2015.09.20.-16 安寧 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

辛うじてまだ空が明るいうちに、仙北町駅に到着した。

 

 

この駅は1915年に開業したので、この年で丁度百周年だ。駅舎も当時から建て替わっていないので、百歳だ。

 

 

ホームから駅舎へ渡る跨線橋からは、岩手山の雄大な姿が見える。この時間は岩手山の向こうに日が隠れ、山のシルエットが薄紅色の空に浮かんでいる。

 

 

 

以前はこのあたりが盛岡の中心街だったこともあり、駅前には小さいながらも商店が立ち並び、家路を急ぐ人々で賑わっている。

 

 

 

 

駅前のバイパスは4車線の広さだが、嫁が幼い頃には2車線しか無く、沿道には数々の商店が立ち並んでいたという。交通の利便性向上と引き換えに、幾つの店が姿を消したのだろうか。

 

 

 

バイパスから路地を抜け、嫁の実家に到着。今日は嫁の実家に身を寄せることにしたのだ。

晩ごはんには、地元の食材を使ってお母さんが作ってくれた料理をおなかいっぱいいただいた。

 

 

食後に「がんづき」もいただいた。遠野の郷土料理だと思っていたが、聞くと岩手県や宮城県の広い地域で食べられているらしい。

 

 

食休みをしたら風呂を浴び、布団に入る。今日は長い一日だったので、少々早めの就寝だがぐっすり寝られるだろう。

 

 

俺にとっては二年振りの遠野まつりだったが、前回は独りでふらふらと訪れ、遠野の友人や世話になった人たちと一緒に楽しい時間を過ごした。しかしそれはあくまで行きずりの時間で、明日にはまた独りに戻らなければならないという寂しさが何処かにあった。今は、明日になっても隣にいてくれる人がいると思うと、寂しさは無い。

そしてそのようなところに喜びを感じる自分を顧み、一年前とは何もかもが変わったのだと実感する。