遠野放浪記 2015.09.20.-08 馬も虫も空腹 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

祭りは晴天に恵まれ、我々は馬場の芝生に座り込んで昼ごはんを食べることにした。

今日は屋台で調達した牛カルビの串焼き、大阪風のお好み焼き、たこ焼き。粉ものばかりだがたまには良いだろう。

特別素晴らしい肉でもないし、豪華な具材が入っているわけでもない。祭りの喧騒と乾いた青空が、外で食べる昼ごはんの何よりの味付けなのだ。

 

 

 

 

食事の匂いに誘われて、嫁の帽子に一匹の蜻蛉が止まった。

蜻蛉は変温動物なので、気温が下がる秋になると、日向ぼっこをして体温を上げるために日当たりの良い場所に止まる性質がある(柵の上や指先に止まるのもこのため)。ついでに美味そうな食料にでも有り付ければ万々歳といったところだろうか。蜻蛉とも一緒に良い時間を過ごそう。

 

 

暫く待っていると、午後の流鏑馬の為の準備が進み、奉行が白馬に跨ってコースの確認を始めた。

 

 

競馬でも1レースの未勝利戦から始まり、条件戦や障害戦が進むに連れてメインの重賞への期待が高まって行くように、祭りの段取りが進みいよいよ流鏑馬の準備が整うと、否応無しに期待感は最高潮に達する。2日間に渡る遠野まつりも遂にクライマックスを迎える。