遠野放浪記 2015.09.20.-04 秋暑し | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

一般の参拝者は、各地から来る団体の合間に本殿に参拝する。

 

 

やがて今度は南部ばやしの一団が来た。冠の細工が煌びやかな穀町南部ばやしだ。

 

 

小さな子から妙齢の女性まで、同じように手を合わせて神に祈っている。それらが解き放たれる様は、秋の野山に燃える紅葉に似ていた。

 

 

 

 

踊り手のお母さんたちも次々に本殿の前に進み、首を垂れて祈りを捧げる。

彼女たちもまた、長年南部ばやしの踊り手を務めて来たのだろう。

 

 

参拝を終えた踊り手たちは、思い思いに談笑して時間を過ごす。このような場でないとなかなか会えない友人もいるのかもしれない。今は南部ばやしの踊り手から、ひとりの少女に戻っているようだ。

 

 

南部ばやしたちのすぐ背後に、六日町の神輿が来ていた。これだけ人数が多い団体が揃うと、順番待ちも大変だ。

 

 

 

 

幾つかの団体を見届けた後、やや間が空いたので馬場に戻り、先に昼ごはんに向け出店を物色することにした。

特に変わったものを売っている店が出ているわけではないが、そんな中で俺は発見した!

で、でたー!トロピカルジュースだ~!!

 

 

何が入っているのかもよくわからないアヤシさ満点のジュースは、学生の頃に遠野まつりで発見して飲んでみたら妙に美味かったという、懐かしい思い出の一品だ。

というか、遠野まつり以外の場で見掛けたことがないのだが、全国的には知られた存在なのだろうか。

懐かしすぎて一本買ってしまった。口の中で弾けるトロピカルな味が、俺を子供に引き戻してくれた。