街を出ると周囲は闇に包まれ、月明かりだけを頼りに夜道を歩く。遠くに見える橋の明かり、大きな道沿いに見える建物の明かりが遠い世界のように見える。
バイパスから松崎の農道に差し掛かり、月が空に昇り始めた。今日の月は大きく、赤く光って見える。
遠くに街の明かりを眺めながら、山の麓に辿り着いた。
最後の500mの急坂が凍っていて上るのが大変だ。街が遥か彼方に遠ざかる頃、月も上空に赤い光を放ちながら輝いていた。
部屋に戻ったら、軽くシャワーだけ浴びて寝ることにする。
何時もならば明日は独りで帰るだけだが、まだ少し何かが起こる気がする。そのようなことを考えながら、俺は何時の間にか眠りに落ちていた。