遠野放浪記 2014.11.23.-18 街に生き、街に死ぬ | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

駅前に戻ったのは、もう日が暮れる寸前だった。

 

 

取り敢えずひと息吐きたいのと、誰か人に会いたいので、駅前のカッパの店に入った。

カッパの提灯には明かりが灯り、昼と夜の間の怪し気な時間帯を演出していた。

 

 

 

SLの運行日にだけ出されるというポッポチーノを飲みながら、カッパと話す。

のんのんがカッパの店になってもう長い。世の中にはラテアートを作り出すことが出来るカッパもいるということを俺はこの店で学んだ。

 

 

それから少し歩き、CocoKanaでお姉さまに会った。外はもうだいぶ暗くなっていた。

 

 

晩ごはんは持参したものがあるのだが、ちょっとしたおやつを食べて行くことにする。この店の軽食はどれも丁度良い量で、何より美味い。

今日は葉わさびと味噌焼きのおむすびのセット、チーズカツにした。

 

 

 

水沢のダービーグランプリでひと山当てたら、祝勝会はこの店にある酒を全て開けてやるつもりだ。

そんなことを言うと、お姉さまはただ「死なずに帰って来い」とだけ言っていた。

 

余談だがこの日、傷心の遠野で迷い込んだあの合コンで出会ったカップルが、目出度くあえりあで結婚式を挙げた。俺はずっと山にいたので全く気付かなかったが、直接出会った人たちの晴れの日に近くにいられたというだけでも、身に余る光栄である。

山の生活にも街の生活にも、等しく人としての幸せがある。そのことに気付けた人は、気付かない人よりも少しだけ幸運だ。