遠野放浪記 2014.08.20.-05 山の女神 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

厚い雲の裂け目から、時折青空が顔を出し太陽の光が地面に降り注ぐ。


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それは直ぐに雲に覆われて消えてしまうが、暫く待っていると再び幾筋もの光が天から降りて来る。

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今日はおかしな空模様である。山の天気は変わり易いと言うが、女神の移ろい易い心の内が現れているのだろうか。

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高原牧場の其処此処に、馬が水を飲んだり身体を洗ったりするための設備がある。これは間違いなく馬がいるという証拠なのだが、その姿は相変わらず見えない。

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振り返ると馬の代わりに、揺蕩う光がまるで生きもののように形を変えながら、さっと駆け抜けて行った。

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前薬師に、そして早池峰に見守られながら高原の旅が続く。

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広大な草原の中を駆け抜ける道は、本当に気持ちが良い。今は勾配がほぼ平坦なので、パティに乗ってスピードを出してみる。

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馬を囲っておく柵も出て来た。相変わらずその主は居ないようだが……。

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荒川高原のかなり奥まで走って来て、人里の残り香は完全に消えた。アップダウンが激しい山の道が、来た方にも行く先にも横たわっているだけだ。

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道の勾配が落ち着いたところで、ちょっとおなかが空いて来たので持参した桃缶でも食べて休憩することにした。

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取り敢えずはこれで糖分とカロリーを摂取し、幾分か疲れも取れるだろう。引き続き、あまり望みが叶いそうにはないが馬に出会える奇跡を信じて冒険を続ける。