遠野放浪記 2014.08.20.-02 滝と不動尊の関係 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

荒川の流れはそれを遡るに従い、急峻になる。


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山の其処此処から水が湧き出し、荒川の流れにひと滴を加えている。このあたりの水は無名だが非常に綺麗で美味しく、幾つか取水場が設けられている。

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道も半ばに差し掛かろうかというところで、荒川を見下ろすような丘の上に御社が見えた。

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赤い鳥居の荒川不動尊である。

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入り口に既に厳つい顔の不動明王様が構えている。

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高原を越えて山へ向かう旅人が、此処で旅の安全を祈願して行ったのだろう。荒川高原の先には早池峰があるので、この不動尊が遠野の内と外を見守る存在だと言えるのかもしれない。

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階段は結構急で、長年此処で旅人を見送って来た証として、苔や蔦に覆われている。

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薄曇りの森に後光が差しているようだ。

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社号は年季を感じさせる古い木の板に刻まれている。荒川の流木を使っているのかもしれない。

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中の小さい御社が本殿。あの中にも不動明王様が祀られているのだろう。つまり此処は境内の入り口と本殿にダブルで不動明王様が構える、まさにダブル明王である。

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不動尊の向かいには荒川不動ノ滝があるが、滝と不動尊は宛らセットであるかのように、兎角隣同士にある風景をよく見る。

一応これには根拠があり、不動明王様は修行僧を助け、修行を妨げる邪悪な存在から守護してくれると言われていることから、山林や河川(特に激しい流れである滝)を修業の場と見做し不動尊を勧請することが多かったのではないかと推測されている。

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さてその荒川不動ノ滝だが、意外に其処まで大きな滝ではない。

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道路から崖を下った先に滝があり、清水の流れが小さな段差を駆け下り轟々と飛沫を上げている。

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上流にも三段構えの小さな滝が見える。この先道が険しくなるに連れ、こうした小さな滝が幾つも現れて来るだろう。

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かつてこの場所で修業した僧もいたのだろうか。

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上から見ている限りではそう厳しい流れでもないように感じるが、高原へ向かう急勾配の中途にあってこれ程小さな滝が連続して存在する場所だから、実際に体験してみないとわからない激しさがあるのだろう。