遠野放浪記 2014.08.17.-01 長い夏の始まり | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

夜が明けても、空は御機嫌斜めのままだった。長い旅ならいつも晴ればかりでも面白くない。まあ一日か二日、青空が拝めればそれ以上は望むまい。


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朝ごはん代わりのパイナップル缶をもぐもぐと食べ、出発の支度をする。青笹駅の頑丈な駅舎は非常に居心地が良かった。


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時刻は5時を回ったところ。始発の汽車は6時を過ぎないとやって来ない。青笹駅とその周辺は、未だ眠りから覚めていないようだ。

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夜の闇の中では見えなかった駅からの景色が、今はとても良く見える。たわわに実った稲穂が雨に濡れ、その姿は艶やかですらある。

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釜石線の駅標識も、静かな雨の中で見ると全く違った印象。

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青笹駅はいつも冒険の始まりの駅である。遠野の市街地から外に出て行く場所にある、各駅停車の汽車しか停まらない小さな駅。

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駅舎に別れを告げ、遠野の果てを目指して出発だ。


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沿道には鮮やかな夏の花が咲いている。遠野の小さな道を歩いていると、いつも季節の花々に癒される。

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東京とは当然、風景が全然違う。遠野の中心とも違う。市街地から離れれば離れる程、時代の変化に抗い続ける遠野の真の姿があるのかもしれない。

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先ずは駅前の集落を抜け、釜石街道へ出る。

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駅から真っ直ぐ大通りに抜けても良いのだが、釜石線と釜石街道に挟まれた小さな道が走っている。地元民しか通らない静かな道、折角なのでこちらを通ってみよう。

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夜に通るとなかなか気付かないが、駅の周りには結構多くの家があり、たくさんの人が住んでいる。駅と共に人々が暮らし、人々がいるから駅がある、そんな風景に出会える旅も良い。