遠野放浪記 2014.07.19.-10 雨の色 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

今回の旅の目的は、遠野の外れのそのまた奥、マヨヒガ伝説の白望山に久し振りに登ることだ。

街から遥かに遠い一ノ渡へ、其処からさらに一時間かけて山へ分け入った先にある琴畑が遠野最後の集落。さらにまた三時間以上林道を歩いた先に、最果ての白望山があるのだ。


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街から一ノ渡までは小一時間掛かるが、最近出来たカッパロードという走り易い道もあり、辿り着くまでに苦労はしない。尤も、旧道の野崎あたりを走る機会が減ってしまったのは少々寂しいが……。

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今日の寝床は、一ノ渡バス停の小屋。本当は夜のうちに琴畑まで上りたかったのだが、琴畑には雨が凌げる場所が無く、夜にまた降り出したら大変なことになるので、此処で一夜を明かさせていただくことにした。

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質素な小屋だが、地元の人によって大切に管理されて来たことがわかる。俺にとってはふかふかの寝袋を敷いて寝るベンチが、何にも勝る素敵なベッドだ。

もう23時近い。今から此処に人が来ることも無いだろう。俺は手早く荷物を整え、明日に備えて休むことにした。