灰色の空の下を、汽車は定刻通りに出発した。
峠に小さな橋が架かっている。この橋が宮守と岩根橋の境界になっているような気がして、毎回目にする度にノスタルジイに襲われるのだ。
花巻市の東の端、東和の田園に差し掛かる。このあたりの水田には既に稲の植え付けが終わっている。
汽車はまた幾つかの橋をくぐり、街へと近付いて行く。車窓に見える人家の数も増えて来た。
右手から東北本線の線路が合流し、シグナルとシグナレスよろしく旅路が此処で交差する。
釜石線のホームと、本線のホームは、まるで別の世界のように思える。跨線橋からのこの風景が、とても遠くに来ていることを実感させる。
本線の汽車が来るまで幾分か時間があったので、軽く昼食を食べることにする。
今日は持参した白米に、ジャン入りのなめ茸をかけていただく。最近のなめ茸はいろいろなバリエーションが出て進化しているのだな……旅先でそんな割とどうでも良いことを実感した。








