遠野放浪記 2014.05.05.-09 たった独りの進軍 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

岩場を上り切った先は、猫の額程の僅かな平地だった。


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巨岩の上に小さな祠が立ち、いつ訪れるとも知れない旅人を待っている。

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見詰める先には石上の集落――山に向かう険しい道沿いに僅かばかりの人が暮らしている。そして周囲は深い山。最早此処は、人が足を踏み入れるべき場所ではない。

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巨岩の上には、小さな石碑が立っている。

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比較的新しいもののようだ。登頂を記念して残して行ったのだろうか。

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そしてその脇に、石上山 1,038m」の看板。

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ようやく、困難に満ちた石上の旅も区切りを迎えた。遠野三山のうち、ふたつ目までを制することが出来た。

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六角牛と違い、平穏な雰囲気は微塵も無い。常に恐怖との戦いだった。

山頂まで辿り着いてようやく、僅かな平地で休息を取ることが出来たが、俺はまだこれからこの山を降りなければならないのだ(笑)

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心底この場所から動きたくないが、そういうわけにも行かない……。

ほんの少しだけ岩に身を横たえ、疲弊した心身を癒すことに専念した。

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このようなしんどい思いをして何故山に登るのかと問われれば、やはり其処に山があるからだと答えるしかない。ただ景色が綺麗な場所に行ってそれを楽しんだり、面白い観光施設で遊んだりといった、そんな在り来たりの次元の話ではないのだ。


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これはもう理屈ではない。遠野三山の一角を制覇したという達成感が得られれば、今はその他に何も必要ではない。