遠野放浪記 2014.05.04.-12 白と青の世界 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

山頂から幾分か下ると、やがて世界は再び低木と雪に支配される。視界が遮られ、頂上を目指して来たときと同じ、手探りでの道程が始まる。


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急な斜面は上りよりも下りの方が怖いが、六角牛を制した昂揚感からか今ならばどのような困難も乗り越えられそうな気がする。

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一瞬視界が開け、偽のピークに差し掛かった。

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クマザサの藪を歩き、意味有り気に積んである岩の前を通り過ぎると、道は此処から麓まで一気の下りになる。

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まだ葉を付けるには早い早春の木々の間を縫い、苦労して上って来た登山道を今度は無事に生きて帰るために踏み越えて行く。

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やがて九合目の避難小屋が見えて来た。九合目から頂上まで豪く苦労したことを思い起こすと、下りは早い早い。

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雪が残る急斜面が怖いことに変わりはないが、既に大きな目的を果たした後だと、何が起こっても何とかなるような気がしてしまうのだ。勿論、そんなことは決してないのだが……。

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幸い落とし穴には引っ掛からず、雪崩にも巻き込まれずに雪渓を抜けた。

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このあたりまで来れば、残りの道程に危険はあまりない。急斜面の岩場など、まだ用心しなければならない場所は幾らか残っているが、頂上手前の雪の急斜面に比べれば児戯にも等しい。

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しっかりと地面を踏み締められる場所もあるので、足早に通り過ぎよう。

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そろそろ登山口まで半分くらいだろうか。幸い天候も引き続き良好で、旅は順調そのものである。