遠野放浪記 2014.03.22.-10 雪に埋もれた街の主 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

熊野神社からさらに先へ進んでみたが、もうその場所には何もなかった。ただ、強く冷たい風が吹き抜ける道があるのみだった。


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先程は気付かなかったが、とある豪農のものらしき家の先に「中山家のオシラサマ」の看板が立てられている。

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中山さん宅を訪ねると、件のオシラサマを見せて貰えるようだが、生憎この日は出払ってしまっていたのか、家に人の気配は無かった。

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中山家のオシラサマは1649年に作られたもので、遠野でも4番目に古いものだという。娘と馬だけでなく、その家族の顔も形作られており、全部で7体あるのだとか。いつか機会があれば、俺も直接見せていただきたいものだ。

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観光マップにも載っている「北川家のオシラサマ」と違い、中山家のそれは決してメジャーではない。しかし、自らの家系に代々受け継がれて来たオシラサマを今でも大切に祀るその姿は、そのような家庭単位で人知れず受け継がれている文化が無数に存在する遠野の、象徴のひとつと言って良い光景だと思えるのだ。

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遠くに見える雪原から顔を出す意味有り気な石碑も、そのような文化のひとつなのかも……。

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この後、ぶらりと上郷の片隅を小一時間掛けて巡ってみたが、結局他に目立つものは無かった。遠野らしい風景が何処までも広がっているのみである。

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何時の間にか一周して元の道に戻って来てしまった。辷田峠を越えて市街地を目指そうかな。