遠野放浪記 2014.03.16.-12 いつもの道 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

14時前になり、ようやく南へ向かう東北本線が出発するので、俺は青春18きっぷに印を押して貰い、列車に乗り込んだ。こうしておよそ3年半振りの盛岡滞在は慌ただしく過ぎて行った。


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盛岡の市街地にまで雪がちらついていた。日本が少し前の季節に逆戻りしたかのようだ。

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たったひと晩で灰色の雪原と化した県南を走る本線の窓から、今日は早池峰の姿は見えない。

空は厚い冬の雲に覆われている。

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盛岡から30分程で、列車は花巻駅を通過。いつも岩手を訪れる際には、この花巻駅で乗り換えることが殆どで、自然と愛着も湧く駅だ。

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1番ホームに入る列車は今は無く、人の姿も無い。ターミナル駅であるにもかかわらず、その雰囲気は寂しい冬のそれであった。

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本線はそんな花巻駅にも、1分足らず停車したのみですぐに別れを告げる。この先はいつも通り慣れた路線で、何か現実へと呼び戻される寂しささえ感じてしまう。

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待避線には、出番を待つ一台の気動車がいて低い唸り声を上げていた。これからまた別の旅が、この駅から始まるのだろう。