遠野放浪記 2014.01.13.-06 青と夜 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

列車は仙台を出発し、福島までの長い道程を走り始めた。

車窓から見える南仙台の工場群は、今日も元気に稼働中だ。


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太陽はもう間もなく店仕舞いの様相。年末よりも多少日が長くなっているとはいえ、福島駅に着くまでに暗くなってしまうかどうか……。

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もうすぐ福島との県境。乾いた西日が眩しい。

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さて、宮城・福島両県境はだいたい天気が悪いことで知られているが、今日もまるでマンガのように突然、爽やかな夕方の青空は終わりを告げた。

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晴天と荒天の境目がはっきり見て取れるくらいに空模様が急変。峠に差し掛かろうかという車窓は横殴りの吹雪に襲われ、野山は真っ白なヴェールに覆われた。

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ひと駅手前とはまるで別世界のようである。東京のビル街を見て育って来た人間にとっては、嘘のような体験だろう。

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やがて並走して来た国道4号に別れを告げ、列車は峠越えに入る。

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トンネルを抜け、厚樫山の高台から見下ろす藤田の街も、同様に白い絨毯と化していた。

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暮れ行く雪景色の中に、小さな家々がまるでパッチワークのように散りばめられている。

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以前この景色の中を、実際に自分の脚で歩いたことがある。風が強い日だったが、心が暖かくなるような小さな街が目の前に広がっていたことをよく覚えている。

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雪は峠で力尽きたかのように、福島駅が近付く果樹園地帯は再び冬の日差しに包まれていた。

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そろそろ景色が薄紅色に染まって来る。東北の人々の上に、安らかな夜が訪れようとしている。

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福島駅への到着は、丁度16時頃。年末あたりにはかなり暗くなっていた時間帯だが、少しずつ太陽の光は力強くなっているようだ。

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尤も一番寒い時期はまだこれから訪れるのだが……。

福島からは、郡山を通過する黒磯までの直通列車が出ている。再び長い時間の旅になるが、乗り換えなくて済むのはとても有り難い。