遠野放浪記 2014.01.13.-01 起床 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

思っていたよりも暖かい1月の夜明け前、俺は目を覚ました。

宇迦神社で宿を借り、今日は東京へ戻るのだ。


朝ごはんは暗闇の中、持参したごはんと民話漬 野菜ふりかけでいただく。みじん切りにされた野菜の漬物がごはんと良く馴染み、とても美味しい。混ぜごはんにもおむすびにも出来そうだ。


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宇迦神社に別れを告げ、駅に向かって歩く。

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遠野の街はまだ夜の闇に包まれ、出歩いている人はひとりもいない。街灯だけが寂し気に光っている。

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遠野駅には始発列車を待つ人が数人いたが、やはり夏と比べるとその出足は寂しい。

明るくなれば地元民で賑わう駅も、夜明け前は静寂に包まれている。

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駅舎の中は暖かく、生き返る思いだった。


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始発列車が来るまで時間があるので、待合室で暫く待つことに。

駅のミニコーナーでは「遠野の正月」の展示が行われており、オシラサマやいろいろな縁起物が所狭しと並べられていた。


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やがて始発の6時18分が近付き、俺は荷物を纏めてホームに出た。


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ようやく白み始めた空の下、雪煙を上げながら始発列車が到着した。

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釜石を一時間前に出発し、険しい山岳地帯を越えて来た汽車はすっかり凍り付いている。

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これから日が昇れば、幾分かこの寒さも和らぐだろう。

俺は汽車のドアを開け、長い岐路に就いた。