遠野放浪記 2013.12.30.-01 或る朝の旅立ち | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

12月30日、くら乃屋さんで過ごす最後の夜が明けた。

暖かい布団の中で、俺はギリギリまで眠ってしまい、気付いたら朝ごはんの時間。急いで身支度をして、薪ストーブが静かに燃えるラウンジに出る。


今朝はベーコンエッグなど、純和風だった昨日からまた様相が変わっている。魚は、かますかな?

素朴で暖かい、家庭の朝ごはんといった感じ。やたら豪華で食べ切れない程のごはんよりも、こういうごはんが旅先でいただけることに俺は幸せを感じるのであった。


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ところで、女将さんは今日は体調を崩してしまい、布団の中で寝ているようだ。年の瀬の挨拶を済ませておらず、出発前に会いたかったのだが、具合が悪いなら仕方がない。

ゆっくり休んで、次の機会にまた元気に会えると嬉しい。

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さて、くら乃屋さんは今朝の営業を以て冬休みに入る。御主人とも、また次の季節までお別れだ。

少し寂しいが、別れがあるから再会の瞬間が嬉しい。俺は必ず遠野に戻って来る……。

そんなことを考えながら、俺はゆっくり旅支度を整えるのであった。