晩秋の色に染まり始めた山が近い街は、市街地とはまるで違って入る道、入る道が実にバラエティに富んでいる。
地図には載っていない、舗装もされていない農道を渡り歩いて、集落から集落へと移動する。
美しい空に、美しい道。全てのしがらみから解放され、俺の心はふわふわと花巻の里山の空高くを闊歩しているような、そんな感覚だった。
この近くには、神社がひとつあるらしい。取り敢えず、短期目標としてその神社を探してみることにしよう。
一旦農道から再びアスファルトの道に戻り、山へと向かう道に進んでみる。
と言っても、あまりに山に向かって進み過ぎると今度は帰ることが出来なくなるので、道は慎重に選んで行かなければならない。明日も岩手に居られたら良いのだが……。
街をぐるっと一周するようにして、再び見通しの良い田園地帯に出た。
神社は、そして小瀬川は見付かるのだろうか……。