列車は仙台に定刻通り到着し、旅もようやく折り返し。
30分近くある待ち合わせ時間のうちに、昼ごはんを済ませておくことにする。
今回も旅のお供に心強い缶詰。いなばのトムヤムチキンと、静岡県は清水の名物もつカレーだ。
もつカレーが清水の名物だなんて知らなかったが、レトルトにもなっているあたり、地道に知名度を上げて来ているのだろうか。
仙台を出発すると、もう太陽は西の空に傾き始める。まだ昼を過ぎたばかりだというのに、県北の大地には夜が忍び寄って来ている感じがする。
駅の近くには街が形成されているが、駅と駅の間には何もない。ただ何処までも、晩秋の田園が広がるばかりだ。
刈り取られた稲が小さな家のように積まれ、冬に向けて乾燥される。
何かの終わりに向かっているような東北の秋を、列車は足早に駆け抜けて行く。
小牛田を過ぎ、もう間もなく列車は岩手に入る。彼の地の晩秋は、どういった表情をしているだろうか。