遠野放浪記 2013.09.22.-12 また来年 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

遠野各地の鹿たちが民話通りにびっしりと並び、遂に今年の遠野まつりのメインイベント、鹿踊り一斉演舞が市長の掛け声でスタートした。

丁度俺の目の前にいたのは鷹鳥屋――小友の一団だ。

派手な飾りの鹿頭が激しく暴れ回る様は、“迫力”という概念そのものが具現化したようだ。


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巖龍神社に篠神社といった、小友を代表する神社の名前も見える。

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早池峰獅子踊りは、頭にも衣装にも大きな太陽のような飾りをあしらい、遠野最北の地から広い遠野中を照らす踊りを披露している。

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早池峰にも幾つかの踊りの流派があるが、中でも純白の衣装はとても美しい。曇りひとつない空に輝く太陽を体現しているようである。

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鹿踊りの衣装は基本的に濃紺かそれに近い色なのだが、白や青といった鮮やかな入ると一際目を引く。出番を待っているだけで絵になるのが鹿踊り。

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青笹鹿踊りには、笛の吹き手として俺の友人が参加している。いつもの愛嬌ある笑顔とは違い、今日は文化の担い手としての真剣な表情が格好良かった。

時間ももう押し迫っているようだし、この青笹鹿踊りを見て最後まで過ごそう。

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暮れ行く遠野の街に、鹿たちの咆哮が木霊し、そして静寂が訪れた。

一瞬、全ての時間が止まったような瞬間が訪れる。これで今年の遠野まつりもフィナーレだ。この瞬間から、全ての遠野の人々は長い冬に向けた準備を始め、また来年の遠野まつりを心待ちに一年を過ごすのだ。