遠野放浪記 2013.09.15.-04 人間界の終わり | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

琴畑林道に踏み込んで間も無く、琴畑川の流れ来る先に白い小さな滝が見える。


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琴畑不動滝。

数ある遠野の川の中でも比較的優しい表情を見せる琴畑川の、今まで知らなかった顔だ。

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源流が近い琴畑は、人に見せない山の川の顔に変わりつつあった。

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その不動滝のすぐ脇に、小さな赤い鳥居を携えた御社がぽつんと立っている。

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これは白滝不動尊といい、滅多に人間が足を踏み入れない琴畑林道において、人の世界とそうでない世界の境界線上を見守る存在だ。

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中には超コワイ顔の御不動様が安置されている。

夜の暗闇の中でこの顔を見たら、失神しそうだ……。

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此処には、人が住む場所を離れて神の下へ向かう人々が残して行った、情の欠片がたくさん残されている。御不動様はそういった人たちのことも見送って来たのだろう。

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御社を過ぎると、また一段と空気は冷たさを増す。

この先はいよいよ人ならざるモノの領域だ。

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琴畑川には、不動滝以降も数多くの滝が形作られ、轟々と音を立てて砕け散った水の欠片を巻き上げている。

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琴畑川のこんな様子は知らない。そして伝説の山へ向かう道も、一切合切が未知。

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全ては刺激に満ちた冒険のために、足を踏み出す勇気を込めて。

この先は何が起こっても不思議ではない。