滝見橋からは、その名前の通り、寺沢渓谷の滝の姿をよく眺めることが出来る。
近くには、遠野遺産の看板と寺沢渓谷の解説が書かれた看板が置かれていた。
このあたりは寺沢川の最下流なので、一の滝から始まる激しい流れもおしまいの場所。
長い年月をかけて形成された岩肌の間を、白い飛沫を上げて寺沢の水が流れて行く。
最下流だというのに、その勢いは上流と比べても殆ど衰えない。
それはこんな風景からも、わかるのではないかと思う。此処は街の端でもあるが、同時に高原の領域内でもあるのだ。
川を眼下に見ながら鬱蒼とした森の中へ分け入り、御堂を目指してみる。
不動堂は滝の近くにあることが多いが、これは御不動様が火の神様であるからだといわれている。
また同時に、病気や災害の神様だともいわれていて、激しい滝の姿に畏怖した街の人々が平穏な流れを望むために、滝の近くに建立するのかもしれない。
不動堂の脇はすぐ崖になっていて、その下に滝が見える。橋からこれだけ狭い範囲でも、相当な落差がある。
振り返れば人が暮らす土地がある。
山の神と人が同居しているようにも感じられる此処は、実に稀有な場所である。