日が沈んでからはあっという間に暗くなる。
列車は白河を越えて関東に入り、東京を目指して南下を続ける。
多くの乗客は途中駅で降りて家に帰って行き、列車は少しずつ空いてくる。
21時を回り、ようやく終着駅の上野に到着した。いつものことながら長い旅路だった。
なお、今日俺が宇都宮から乗った列車は快速ラビットだったのだが、快速列車は地上階のホームに到着するらしいのだ。此処からパティを担いで階段を上るか、ホームの端まで歩いて改札を出なければならないのはしんどい。次回から快速に乗る際には、一番前の車両に乗るようにしよう……。
取り敢えず今日は目の前にあった階段を上り、公園口から外に出た。
公園口はその名の通り、すぐ目の前が上野公園なのだが、流石にそこにはもう人の姿は無い。
幾ら遠野のような自然に囲まれた田舎街が大好きだといっても、何だかんだで東京に戻ってきて冷たく輝く夜の街を見ると、何か胸に迫るものがある。今後もし遠野に移り住んだら、この気持ちは変わってしまうのだろうか、それとも変わらないだろうか。
東京は冷たい街だが、あの明かりのひとつひとつが人の生きている証でもある。
それだけは忘れてしまわないようにしたい。