綾織の田舎道の一角に、農地の間を縫って山へと入っていく道があった。
深い雪を踏み越えていくと、森の木々に隠れるようにして小さな御社が眠っているのを発見……。
鳥居には“三社”と銘打たれている。
拝殿はトタン屋根にガラス窓と、神社というよりもその社務所みたいなイメージ。
ここが果たして遠野の歴史において、どれだけ重要な役割を果たしてきたのだろうか。
御社内には三社大権現の文字が。
境内は意外に広い。山の中に入っていく道もあり、何日か前に付けられたであろう足跡も残っていた。
拝殿の裏手には、この神社の本殿と思しき小さな祠が祀られていた。
御神体には天照大神・八幡大神・春日大神の文字。
御神体の前には、ひとつだけ丸い餅が供えられていた。
ひとりでも、この雪にも負けずに参拝しに来る人がいるあたり、ここも長い間綾織で愛されてきた神社であると感じる。
結局、何故三柱の神様がここ一ヶ所に祀られているのか……そもそも何故この三柱の神様なのか……といった突っ込んだことはわからなかった。この旅から帰ったら、また資料を解き直してみるか。
それにしても、ここは街を一望できる素晴らしいロケーションだ。三柱の神様はいったいどれだけの時間、ここから街を見続けてきたのだろうか。
どの季節でも素敵な風景に出会えそうだが、やはり冬か、田圃に水が入る晩春が特に良いのかな。
そのようなところで、神社を去る頃には完全に太陽も昇った。
この時期の遠野では、昼は短い。次の目的地を目指して出発だ。