遠野放浪記 2012.12.31.-05 半日 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

宮守を出発した列車は岩根橋を渡り、峠を越えて花巻へ向かう。小さな街が車窓に現れては消えていく。


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先程までよく晴れていた空は、急に灰色の雲に覆われてどんより垂れ込めてきた。岩手を脱出するまでに少々天気が荒れるかもしれないな。

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列車は無事峠を降り、花巻市に入って最初の駅である晴山を通過。続く東和の中心にある土沢駅では、多くの人が下車し家に帰って行った。

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空は灰色から次第に白く変わり、今にも雪が落ちてきそうな表情だ。

列車は誰もいない小山田駅を通過し、新花巻駅に到着。しかしわざわざ新花巻からローカル線で盛岡へ向かおうという人はあまりいなく、いつもは多くの人で賑わうこの駅も、今日ばかりは閑散としていた。


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そこから先は暫く大きな街もなく、白い田園ばかりが広がる寂しい冬の景色が続くが、似内駅を過ぎて市街地に差し掛かると、再び人々が暮らす風景が見えてくる。

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息も凍る冷たい雪の中でも、春を信じて元気に生きている人がいる。

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北上川支流の瀬川を越えると――この川を遡って行くと小瀬川という場所がある、非常に行ってみたい――車窓の風景は一変し、大きな花巻の街が見えてくる。

田舎が大好きとはいっても、こうして街に来ると何処となく安心してしまうのは、元来寂しがりな俺の性だろうか。

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快速はまゆりは無事、定刻通り花巻駅に到着。俺はここで乗り換えることになるが、この列車は引き続き盛岡へ向けて旅を続ける。

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花巻駅はたくさんの人で賑わい、大晦日だというのに人々は雪をも溶かさんばかりにエネルギッシュだ。

次の一ノ関行きの列車が来るまで小一時間あるため、俺は少し駅を出てぶらぶらしてみることにした。