遠野放浪記 2012.12.29.-05 果てしない夢路 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

郡山は福島県のほぼ中央に位置する大きな街で、駅を中心にとても多くの人で賑わう。

市の人口は県庁所在地である福島市よりも4万人くらい多い。こうも人が多いと、雪も空へと引っ込んでしまうようで、車窓にはあまり白が映らなくなっていた。


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列車は郡山を出発し、県庁所在地の福島に到着。県内最北に位置する市だが、郡山や白河と比べて標高が低いせいで暖かく、福島県内で一、二を争う温暖な気候を誇る。

さらに南方の宇都宮や水戸などと比べても、やはり地形のせいで暖かい。栃木県内が雪景色なのに福島県内には雪が無い……といった現象にはそうした理由があったのか。


そのようなわけで、暫くはあまり雪が見られない荒涼とした車窓が続く。

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藤田の高台から見下ろす大地、ここが一面雪に覆われたらさぞ美しいだろう……。

遠野に行き続ける以上、いつかチャンスがあるはずだ。

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福島の果ては気持ちの良い青空だった。

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列車が宮城県に突入するや否や、空模様は一変して灰色の雲が重く垂れ込めてきた。

地形云々言っても、列車はひたすら北を目指して走っているので、問答無用で寒くなってくるのが当たり前だ。北東北に近付くに連れ、再び空から雪の精が舞い降りるところが見られるのかもしれない。

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列車はやがて白石川と並行して走る。視界を遮るものが少ない川沿いの景色は魅力的で、雲に覆われた遠くの山々の姿に冒険心を掻き立てられる。

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東白石駅の対岸には、白石蔵王の御膝元である宮地区があるが、駅から一番近い橋を利用しても、街から駅までは1km以上歩かなければならない。

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一度この駅で降りてみたことがあるが、駅の周囲には何もなく、街と俺を隔てる白石川が、そのまま住人の日常と旅人の非日常を隔てる境界であるように感じたものだ。

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白石から大河原に入ると、車窓はまた少しずつ変わっていき、街との距離が少し近くなったように感じる。

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白石川はやがて阿武隈川に合流し、列車は岩沼から名取に入る。

ここからは広い田園地帯が続き、広大な大地にぽつんと立つ家が何ともノスタルジイを呼び起こす。あそこにはどのような物語が人知れず紡がれているのだろう……それもあっという間に遥か彼方だ。

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列車はそろそろ仙台に到着する。道中最後の大都市で、遠野へ向かう旅も此処まで来てようやく折り返し地点といったところだ。