遠野放浪記 2012.12.22.-05 帰る場所 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

一ノ関から盛岡を結ぶラインは、岩手県内陸部の重要な動脈。沿線には平泉・水沢・北上といった大きな街が点在し、また北上川とほぼ並行して走っていることから、車窓にも美しい風景が多い。


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県内は思った程雪が積もっていない。やはりまだ冬本番は先だということだろうか。

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天候もやや持ち直し、ここへ来て空が明るくなってきた。日没直前の美しい色が辛うじて拝めるだろうか。

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列車は北上川支流の和賀川を越え、北上駅に到着。そこから飯豊川、豊沢川といった川をひとつひとつ渡り、花巻駅に近付いていく。

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一ノ関駅から約一時間の旅を終え、花巻駅で下車。夕方頃とあって帰途を急ぐ客が大勢降りた。

列車はすぐにまた盛岡に向けて出発していった。

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最後の乗り換え先である釜石線は1番ホームからの発着なので、陸橋を渡って移動。

ここまで来ると高い建物もないので、陸橋の上からは遠くの景色がよく見える。残念ながら優しい色の綺麗な夕焼け……というわけにはいかなかったが、辛うじて沈んでいく太陽の残光が見えた。

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俺は花巻駅の陸橋から遠くを眺めるのが好きだ。

遠くまでやってきた実感と共に、今回も無事に岩手に戻ってくることができたということが感じられるから。

岩手出身ではない俺が感じるそれは意識的なものではなく、水流が川底の砂を巻き上げるように、自然と記憶の奥底から救い上げられるものだと思う。

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1番ホームは既に数人の乗客が。

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間もなく重低音を立ててやって来た2両編成の気動車に彼らは吸い込まれていった。

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夕方に釜石線に乗るのは初めて。いつもの最終列車はガラガラだったが、今日は丁度満員になる程度に混んでいる。この人たちはいったい何処まで向かうつもりなのだろうか。途中駅でひとりまたひとりと見送りながらそんなことを考えるのも楽しい。