台湾の総統選挙・立法委員選挙制度についてと今回の選挙後の感想 | 桃太郎日記~親日国家・台湾より

桃太郎日記~親日国家・台湾より

親日台湾は1895(明治28)~1945(昭和20)年の50年間
反日朝鮮は1910(明治43)~1945(昭和20)年の35年間、日本に統治されました
台湾は[日本の統治を受けた本省人(子孫)90%弱]と[大陸で日本と戦った外省人(子孫)10%強]が同居する国です

今はNHKで台湾の選挙が中継で報道される時代。

 

民進党の頼清徳氏が総統になり、立法院(国会)に関しては民進党・国民党共に議席の過半を取ることができなかったことは皆様すでにご存知のことと思います。

 

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総統選挙の得票率は、現与党の民進党が40%、前与党の国民党が34%、新党の民衆党が26%

 

 

立法委員(国会議員)の政党別議席獲得数は、民進党が51議席、国民党が52議席、民衆党が8議席ですので、残り2議席が無所属になると思います。

なお追加情報ですが、総議席113議席中、73議席が小選挙区制、34議席が比例代表制、6議席が原住民枠となります。

 

 

 

さて、個人的にニュースを見ていて気になったのが、台湾の政治制度を日本人はきちんと認識できているのかな?と言うことです。

 

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日本は議会制民主主義で、国民が選挙で2つの院(衆議院、参議院)の議員を選びます。そして、選ばれた議員たちが選挙をして首相(政府)を選びます。

 

  国民→(選挙)→議員→(選挙)→政府

 

よって日本の場合は、国民から見ると、国民が国会(立法府)を作り、国会が政府(行政府)を作るので、国民から見る政府は少し距離感があります。

 

そして日本の「ねじれ」とは衆議院と参議院の多数派を違う党が持っている状態です。

 

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台湾の場合は、国民が立法委員を選ぶと共に、同じく国民が総統を選びます。

政府とは、選挙で選ばれた総統が行政院長(行政府の長、つまり日本の首相に相当)を指名し、その行政院長によって組織されます。従って、総統を選ぶ=政府を組織する党を選ぶと言うことになります。イメージ的には日本の地方公共団体の選挙に似ています。

 

   国民→(選挙)→議員

   国民→(選挙)→政府

 

そしてこれまでの台湾の国会(立法院)においては民進党が過半数を占めていましたが、今回の選挙において総統が所属する民進党は過半を取れませんでした

 

これが台湾の今回の選挙における「ねじれ」になります。

よって政府(民進党)が法案を通そうとしても、議会(例えば、国民党+民衆党)で否決される可能性が非常に高まることになります。

 

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さて、以下は今回の選挙を受けての私個人の感想です。

 

日本人として台湾が羨ましい。

 

台湾のこれまでのきれいな2大政党制も羨ましいと思って見ておりました。

そして今回は前台北市長だった柯文哲氏の立ち上げた民衆党が第3極として名乗りを上げました。

 

結果として、民進党も国民党も総議席の過半(57議席)を取ることができず、どちらにしても第3極に気を使いながらの運営にならざるを得ません。

 

私個人の希望としては「総統(政府・行政府)が国民党、立法院(議会・立法府)が民進党」だったのでそこは逆の結果でしたが、まあ良しと言う感じです。(前評判からして国民党の総統はかなり厳しい感じでしたし)

 

民進党政府としては、これまでは議会で過半を占めていましたので比較的やりやすかったと思いますが、これからは他党に気を使った運営にならざるを得ません。場合によっては、物事がなかなか進まないいわゆる「ダッチロール現象」に陥るかもしれません。

 

ただそれも台湾人の賢明な選択によるものですので、今後の台湾人の幸せを願いつつ、引き続き見守りたいと思います。

 

今回の結果を見ると、台湾が日本よりも常に厳しい情勢下にある結果なのかもしれませんが、いずれにしても「台湾人のバランス感覚はすごいなぁ」と思いました。

そして繰り返しますが、日本人としてこの様な態勢が作れる台湾人が羨ましいと思いました。

 

日本にも、お花畑ではない、そして対案を示さず反対ばかりするのではない、あるいはできもしない政策ばかり言うのではない、しっかりした野党による第2極、そして意味のある第3極が早くできることを祈るばかりです。