☆忍者小説第1弾 KUNOICHI☆ウチにおまかせ「長州ノ巻」
[投稿完了掲載中]
明治維新の先駆者、長州・萩の吉田松陰や高杉晋作などの文化遺産を破壊しようとする根来忍者テロ集団に敢然と立ち向かう。服部半蔵の子孫、伊賀忍者くノ一・服部あき、服部りえ。猿飛佐助の子孫、甲賀忍者・望月一郎の活躍をお楽しみください。
☆忍者小説第2弾 KUNOICHI☆ウチにおまかせ「龍馬ノ巻」
[投稿完了掲載中]
薩長連合を実現した明治維新の英雄、土佐の坂本龍馬の文化遺産を破壊しようとする根来忍者テロ集団に敢然と立ち向かった忍者くノ一・服部あきは根来忍者うめに破れ死の淵を彷徨う・・・
☆忍者小説第3弾 KUNOICHI☆ウチにおまかせ「薩摩ノ巻」
[投稿完了掲載中]
明治維新の英雄、西郷隆盛、大久保利通そして小松帯刀の活躍した薩摩の文化遺産の危機。忍者くノ一・服部あきは阻止の命令を受けて飛んだ・・・
☆忍者小説 KUNOICHI☆ウチにおまかせ「奇跡の仔犬」
[投稿完了掲載中]
ペットショップ「わんランド」とあいりん地区を舞台に、奇跡の仔犬を巡って起こる事件に、忍者くノ一・服部あきが活躍するヒューマンアクション!
目線、あいづち…頼りにされる話の聞き方
甲斐の名将・武田信玄は、自分が納得いかないことは何度でも聞いて、真の情報を引き出そうとした「聞き上手」だった。一方で、相手の「人の話を聞く態度」もつぶさに観察していた。話を聞く態度はさまざまだ。目をキョロキョロさせて落ち着かない人もいれば、やたらうなずいたり笑ったり、あいづちを打つ人もいる。また、相手の顔は見ずに上半身をじっと凝視しながら話に耳を傾ける人もいる。この中で、信玄が「最も頼りになる」と評価したのは「こちらの顔を見ず、胸のあたりをじっと見つめながら話に耳を傾ける人」だったという。
人の話を聞きながら、うなずき、笑い、あいづちなどをタイミングよく行った場合、話し手の多くは「自分の話を一生懸命聞いてくれている」「共感してくれた」と好意的に解釈するものだ。そして、気をよくしてもっと話したくなる。しかし、信玄は長年の経験からうなずきやあいづちが多い人間は表面的な反応は早いが、意外と話の内容を理解していないことに気づいたのだろう。すぐ「わかりました!」と調子よく言う人間に限って、実はよく理解できていないことが多い。また、反応が早すぎるのも要注意というわけだ。むしろ信頼できるのは、じっくり耳を傾け、納得いくまで質問し、簡単に「わかった」と言わない方である。きっと「聞き上手」だった信玄自身も、このような聞き方に徹していたのではないだろうか。
目線については、相手と視線を合わせる「アイ・コンタクト」は相手に好意を伝えたり説得するときには効果的だが、凝視すると逆効果になってしまう。心理学的に見ても10秒以上の凝視はさけたほうがよい。信玄は「胸のあたりをじっと見る」という視線の使い方を評価したが、一対一で話し合う場合は、ときどき数秒程度視線を合わせるくらいが丁度よい。
人の話を聞きながら、うなずき、笑い、あいづちなどをタイミングよく行った場合、話し手の多くは「自分の話を一生懸命聞いてくれている」「共感してくれた」と好意的に解釈するものだ。そして、気をよくしてもっと話したくなる。しかし、信玄は長年の経験からうなずきやあいづちが多い人間は表面的な反応は早いが、意外と話の内容を理解していないことに気づいたのだろう。すぐ「わかりました!」と調子よく言う人間に限って、実はよく理解できていないことが多い。また、反応が早すぎるのも要注意というわけだ。むしろ信頼できるのは、じっくり耳を傾け、納得いくまで質問し、簡単に「わかった」と言わない方である。きっと「聞き上手」だった信玄自身も、このような聞き方に徹していたのではないだろうか。
目線については、相手と視線を合わせる「アイ・コンタクト」は相手に好意を伝えたり説得するときには効果的だが、凝視すると逆効果になってしまう。心理学的に見ても10秒以上の凝視はさけたほうがよい。信玄は「胸のあたりをじっと見る」という視線の使い方を評価したが、一対一で話し合う場合は、ときどき数秒程度視線を合わせるくらいが丁度よい。
東北地方太平洋沖地震に思う
「東北地方太平洋沖地震」被災者の皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
大地震だけでなく、津波の脅威にはただただ驚愕しています。
弟も仙台に単身赴任で住んでいます。
まったく連絡が取れず心配していましたが、
やっと今朝、奇跡的に助かったとの連絡がありました。
弟は地震時、石巻の海岸線を車で走っていて、
ラジオで10分後に津波が来ると聞いて必死で逃げていると、
後ろから6メートルの津波が追いかけて来ましたが、
間一髪、奇跡的に助かったと胸をなでおろしたそうです。
今、避難所で待機しているそうです。食べ物は微々たるものだそうですが、
今の不自由さは助かった感謝で気にはならないと言っていました。
私にできることは、一人でも多く救助できることを祈ることと、節電です。
関西電力からも関東へ送電するそうですから、少しでも協力できたらと
只今、節電に努めています。
私は現在、リンパ節ガンの抗がん剤治療をしていますが、
被災者の皆さんのことを考えると本当にちっぽけな悩みです。
病気等に負けないで強い生命力を引き出して、
微力ながら皆さんのお役に立ちたいと強く決意しています。
一日も早い復興を心より祈っています。
大地震だけでなく、津波の脅威にはただただ驚愕しています。
弟も仙台に単身赴任で住んでいます。
まったく連絡が取れず心配していましたが、
やっと今朝、奇跡的に助かったとの連絡がありました。
弟は地震時、石巻の海岸線を車で走っていて、
ラジオで10分後に津波が来ると聞いて必死で逃げていると、
後ろから6メートルの津波が追いかけて来ましたが、
間一髪、奇跡的に助かったと胸をなでおろしたそうです。
今、避難所で待機しているそうです。食べ物は微々たるものだそうですが、
今の不自由さは助かった感謝で気にはならないと言っていました。
私にできることは、一人でも多く救助できることを祈ることと、節電です。
関西電力からも関東へ送電するそうですから、少しでも協力できたらと
只今、節電に努めています。
私は現在、リンパ節ガンの抗がん剤治療をしていますが、
被災者の皆さんのことを考えると本当にちっぽけな悩みです。
病気等に負けないで強い生命力を引き出して、
微力ながら皆さんのお役に立ちたいと強く決意しています。
一日も早い復興を心より祈っています。
第五章「揺れる心」10話[了]
たまりかねた沙也加は、ラッキーを優しく振り払って奥さまへ渡した。
「さあ、ラッキーお家へ帰りましょう」
そう言って抱っこした奥さまの顔が真っ青になった。
ラッキーの目から涙が流れていた。
奥さまは涙が溢れ嗚咽をこらえながら観念したように、優しくラッキーを畳に降ろした。
ラッキーは奥さまの目をじっと見て「クーン・クーン」と鳴いてから、沙也加の側へ尻尾を振りながら行った。
その光景をじっと見ていた大沢は、
「……沙也加さんには負けました」涙を流しながら呟いた。
「なぁ……純子、ラッキーを沙也加さんに譲ろう。いいだろ?」
奥さまは泣きながら頷いた。
「えっ、本当ですか、ありがとうございます。いくらで譲っていただけるんですか?」
沙也加は素直に訊ねた。
すると大沢は、
「ラッキーを助けてくれて、これだけ可愛がってくれたお礼としてラッキーは沙也加さんに無償で差しあげます。そして、約束通り礼金として百万円は受け取ってもらはなくては困ります」
誠実な態度ではっきり言い切った。
「ほ、本当にいいんですか?」沙也加は驚いて訊ねた。
「はいっ! 本当です。私たちはラッキーからお金では買えない大切な心を教えていただきました。どうかこれからはラッキーいや光チャンをよろしくお願いします。そして、一日も早くお母さまとお婆さまがお元気になられ、ご家族が幸せになられることを心から祈っています」
それを聞いた瞬間、沙也加と母親は感激して大声で泣き出した。
大沢の人情味あふれる光景を目の当たりにして、りえは大きな瞳から滝のように涙が溢れていた。あきは静かに閉じた両目から一筋の涙が頬を流れた。どんべえも「キューン・キューン」と感動して泣いていた。
あきたちはそれぞれが複雑な気持ちで城田宅を跡にした。
車中、寂しそうにしている妻へ大沢は、
「純子ありがとう。今は寂しいだろうが、明日、わんランドに行って好きな仔犬を買ってきなさい」
「あなた、本当にいいんですか?」
「もう、俺は心も体も元気になった。健康のことは気を使わなくていいから、純子が好きな仔犬を買ってきなさい」
「あなた、ありがとうございます」
「なぁ……純子、良いことをすればこんなにも気持ちが晴れ晴れするとは……」
大沢はそう言いながら朗らかに笑った。そして、さわやかな口調で、
「あきさん、本当にありがとうございました。これからも忍術をよろしくお願いいたします」
「えっ、ウチが忍者って知っていたんですか?」
「ええ、城田からすべて聞きました」
「残念ですが大沢さん、今回はまったく忍術を使っていないですよ。すべて偶然ですから」
「そうだったんですか……。まあ、俺にとっては忍術を使っても使わなくても、こんな素晴らしい結果になっ
たことに心から感謝しています」
「大沢さん、ありがとうございます。これからもわんランドをご贔屓によろしくお願いします」
狭い車中にさわやかな笑い声が響いた。
了
ご購読ありがとうございました。
「さあ、ラッキーお家へ帰りましょう」
そう言って抱っこした奥さまの顔が真っ青になった。
ラッキーの目から涙が流れていた。
奥さまは涙が溢れ嗚咽をこらえながら観念したように、優しくラッキーを畳に降ろした。
ラッキーは奥さまの目をじっと見て「クーン・クーン」と鳴いてから、沙也加の側へ尻尾を振りながら行った。
その光景をじっと見ていた大沢は、
「……沙也加さんには負けました」涙を流しながら呟いた。
「なぁ……純子、ラッキーを沙也加さんに譲ろう。いいだろ?」
奥さまは泣きながら頷いた。
「えっ、本当ですか、ありがとうございます。いくらで譲っていただけるんですか?」
沙也加は素直に訊ねた。
すると大沢は、
「ラッキーを助けてくれて、これだけ可愛がってくれたお礼としてラッキーは沙也加さんに無償で差しあげます。そして、約束通り礼金として百万円は受け取ってもらはなくては困ります」
誠実な態度ではっきり言い切った。
「ほ、本当にいいんですか?」沙也加は驚いて訊ねた。
「はいっ! 本当です。私たちはラッキーからお金では買えない大切な心を教えていただきました。どうかこれからはラッキーいや光チャンをよろしくお願いします。そして、一日も早くお母さまとお婆さまがお元気になられ、ご家族が幸せになられることを心から祈っています」
それを聞いた瞬間、沙也加と母親は感激して大声で泣き出した。
大沢の人情味あふれる光景を目の当たりにして、りえは大きな瞳から滝のように涙が溢れていた。あきは静かに閉じた両目から一筋の涙が頬を流れた。どんべえも「キューン・キューン」と感動して泣いていた。
あきたちはそれぞれが複雑な気持ちで城田宅を跡にした。
車中、寂しそうにしている妻へ大沢は、
「純子ありがとう。今は寂しいだろうが、明日、わんランドに行って好きな仔犬を買ってきなさい」
「あなた、本当にいいんですか?」
「もう、俺は心も体も元気になった。健康のことは気を使わなくていいから、純子が好きな仔犬を買ってきなさい」
「あなた、ありがとうございます」
「なぁ……純子、良いことをすればこんなにも気持ちが晴れ晴れするとは……」
大沢はそう言いながら朗らかに笑った。そして、さわやかな口調で、
「あきさん、本当にありがとうございました。これからも忍術をよろしくお願いいたします」
「えっ、ウチが忍者って知っていたんですか?」
「ええ、城田からすべて聞きました」
「残念ですが大沢さん、今回はまったく忍術を使っていないですよ。すべて偶然ですから」
「そうだったんですか……。まあ、俺にとっては忍術を使っても使わなくても、こんな素晴らしい結果になっ
たことに心から感謝しています」
「大沢さん、ありがとうございます。これからもわんランドをご贔屓によろしくお願いします」
狭い車中にさわやかな笑い声が響いた。
了
ご購読ありがとうございました。
第五章「揺れる心」9話
「まあ、大変ですね……」
奥さまは同情して悲しい表情になった。しばらく沈黙の重たい空気が漂った。そんな雰囲気を打ち破るように大沢はどんな事業だったんですか、と遠慮気味に訊ねた。
「確か……携帯電話のソフトの開発をしていました」
「もしかして……お父様は城田さんではないですか?」
「えっ、お知り合いですか?」
驚いた沙也加は潤んだ瞳で大沢を見詰めた。
「ちょっと噂で聞いたことが……」動揺した大沢は言葉を濁した。
「そうなんですか……。私の言いたいのは、家族を明るくしてくれる光チャンと一緒にいたいんです」
沙也加は大粒の涙を流しながら懇願するように言った。すると母親もしくしく泣き出した。
大沢夫妻は困惑した表情になって沈黙した。
この空気にたまりかねたりえは、
「実はね、沙也加さん。この仔犬は世界でも珍しい『奇跡の犬』なんです。この仔犬がいると家族が元気になってどんどん栄えていくんですよ」と、正直に説明した。
しゃくりながら沙也加は、
「えっ、『奇跡の犬』……そう言われると、本当にそうだと思います」
「だから、大沢ご夫妻も仔犬をすごく大切にされていたんです。沙也加さんのお気持ちはすごくわかりますが、どうか快くお返ししてもらえないでしょうか?」
りえは仲介者の立場としてそう言わざるを得なかった。
「はい……わかりました。光チャンを起こして連れてきます」
やっと納得した沙也加は二階へ静かに上がった。
あきは、今ほんとうにこの仔犬が必要なのは大沢夫妻より沙也加の方だと心から思った。健気な沙也加の態度に深く感動して、何とかしてあげたい気持ちが込み上げた。
しばらくすると沙也加は光チャンを抱っこして降りて来た。
「ラッキー、会いたかったわ」
沙也加から受け取ったラッキーを奥さまは泣きながら抱きしめた。
大沢は深々と頭を下げて、
「本当にありがとうございました。心から感謝いたします。少ないですが礼金として百万円を受け取ってください」
大沢はカバンから取り出してテーブルの上に置いた。
沙也加と母親は、ただ黙って頭を深々とさげていた。
「夜分大変申し訳ございませんでした。本当にありがとうございました」
丁重に奥さまがお礼を言うと、ラッキーは奥さまの腕からするりと抜け出して沙也加の膝に飛び乗った。
みんなは驚いてラッキーを見詰めた。
奥さまは同情して悲しい表情になった。しばらく沈黙の重たい空気が漂った。そんな雰囲気を打ち破るように大沢はどんな事業だったんですか、と遠慮気味に訊ねた。
「確か……携帯電話のソフトの開発をしていました」
「もしかして……お父様は城田さんではないですか?」
「えっ、お知り合いですか?」
驚いた沙也加は潤んだ瞳で大沢を見詰めた。
「ちょっと噂で聞いたことが……」動揺した大沢は言葉を濁した。
「そうなんですか……。私の言いたいのは、家族を明るくしてくれる光チャンと一緒にいたいんです」
沙也加は大粒の涙を流しながら懇願するように言った。すると母親もしくしく泣き出した。
大沢夫妻は困惑した表情になって沈黙した。
この空気にたまりかねたりえは、
「実はね、沙也加さん。この仔犬は世界でも珍しい『奇跡の犬』なんです。この仔犬がいると家族が元気になってどんどん栄えていくんですよ」と、正直に説明した。
しゃくりながら沙也加は、
「えっ、『奇跡の犬』……そう言われると、本当にそうだと思います」
「だから、大沢ご夫妻も仔犬をすごく大切にされていたんです。沙也加さんのお気持ちはすごくわかりますが、どうか快くお返ししてもらえないでしょうか?」
りえは仲介者の立場としてそう言わざるを得なかった。
「はい……わかりました。光チャンを起こして連れてきます」
やっと納得した沙也加は二階へ静かに上がった。
あきは、今ほんとうにこの仔犬が必要なのは大沢夫妻より沙也加の方だと心から思った。健気な沙也加の態度に深く感動して、何とかしてあげたい気持ちが込み上げた。
しばらくすると沙也加は光チャンを抱っこして降りて来た。
「ラッキー、会いたかったわ」
沙也加から受け取ったラッキーを奥さまは泣きながら抱きしめた。
大沢は深々と頭を下げて、
「本当にありがとうございました。心から感謝いたします。少ないですが礼金として百万円を受け取ってください」
大沢はカバンから取り出してテーブルの上に置いた。
沙也加と母親は、ただ黙って頭を深々とさげていた。
「夜分大変申し訳ございませんでした。本当にありがとうございました」
丁重に奥さまがお礼を言うと、ラッキーは奥さまの腕からするりと抜け出して沙也加の膝に飛び乗った。
みんなは驚いてラッキーを見詰めた。
第五章「揺れる心」8話
「沙也加、わんランドの服部あきさんが来られましたよ」
母親は階段から二階へ大きな声で呼んだ。
しばらくすると、赤いジャージ姿の沙也加が静かに降りて来た。
「こんばんわ、始めまして後藤沙也加です」
「始めまして、私はペットショップわんランドの服部あき、こちらは仔犬の持ち主の大沢ご夫妻です。隣は妹のりえです」
あきが紹介すると、大沢の奥さまは緊張した表情で、
「沙也加さんこの度は、仔犬の命まで救っていただいて大変ありがとうございました」
大沢も一緒に深々と頭をさげた。すると沙也加は、
「なぜ、ここがわかたんですか?」
ちょっと不満そうな表情で言った。
「実は、そこにいるどんべえが仔犬とあなたを見付けたのよ」
あきは玄関先のどんべえを指差して言った。
それを見た沙也加は驚いて、
「あっ、昼間公園で出会ったわんチャンね」
すると、どんべえは「ワン」と鳴いた。
「えっ、人間の言葉がわかるんですか?」
沙也加は驚いて訊ねると、またどんべえは「ワン」と鳴いた。驚いている沙也加と母親に、あきはこの犬は忍者犬で人間の言葉がわかるんですと答えた。
沙也加と母親は見詰め合って、「えっえ」と奇妙な声を出した。
「忍、忍者犬どんべえ、ですか……」
沙也加は声を詰まらせて呟いた。
「そうです。忍者村伊賀で厳しい修業をして忍者犬になったんです」
あきはきっぱり言った。側でそわそわしている奥さまが心配そうに訊ねた。
「ところで、沙也加さん仔犬のラッキーはどこにいるんですか?」
「今、二階で寝ています。連れて来る前に言って置きたいことがあるんですが……」
「何でしょうか?」奥さまは表情を曇らせて訊ねた。
「実は昨日、私の親友から仔犬の新聞広告の話を聞いたので、写メールで送ってもらって確認したら間違いなく、その仔犬と思ったんです。しかし連絡しようかすごく悩んで、今朝やっぱり連絡しようと決めていたんです。ですが、仔犬の光チャンはすごく家族に懐いているんです。光チャンがここに来てから、お母さんとおばあちゃんがよく笑うようになって少しづつ元気になっているんです」
奥さんは親身になって何度も小さく頷いた。
「お母さまとお婆さまは体が悪いのですか?」
「ええ、二人とも父のために心労が重なり体調を壊しているんです。母はまだ若いんですけど、とても働ける
体力がないんです。だから、私ひとりが働いて家族を養っているんです」
「そうなんですか、ご苦労されているんですね。立ち入ったこと訊ねて申し訳ないんですが、もし差し支えなかったらお父様はどうされているんですか?」
奥さまは遠慮気味に訊ねた。
「父は事業を失敗して借金のために離婚して失踪したんです」
沙也加は弱々しく言った。
母親は階段から二階へ大きな声で呼んだ。
しばらくすると、赤いジャージ姿の沙也加が静かに降りて来た。
「こんばんわ、始めまして後藤沙也加です」
「始めまして、私はペットショップわんランドの服部あき、こちらは仔犬の持ち主の大沢ご夫妻です。隣は妹のりえです」
あきが紹介すると、大沢の奥さまは緊張した表情で、
「沙也加さんこの度は、仔犬の命まで救っていただいて大変ありがとうございました」
大沢も一緒に深々と頭をさげた。すると沙也加は、
「なぜ、ここがわかたんですか?」
ちょっと不満そうな表情で言った。
「実は、そこにいるどんべえが仔犬とあなたを見付けたのよ」
あきは玄関先のどんべえを指差して言った。
それを見た沙也加は驚いて、
「あっ、昼間公園で出会ったわんチャンね」
すると、どんべえは「ワン」と鳴いた。
「えっ、人間の言葉がわかるんですか?」
沙也加は驚いて訊ねると、またどんべえは「ワン」と鳴いた。驚いている沙也加と母親に、あきはこの犬は忍者犬で人間の言葉がわかるんですと答えた。
沙也加と母親は見詰め合って、「えっえ」と奇妙な声を出した。
「忍、忍者犬どんべえ、ですか……」
沙也加は声を詰まらせて呟いた。
「そうです。忍者村伊賀で厳しい修業をして忍者犬になったんです」
あきはきっぱり言った。側でそわそわしている奥さまが心配そうに訊ねた。
「ところで、沙也加さん仔犬のラッキーはどこにいるんですか?」
「今、二階で寝ています。連れて来る前に言って置きたいことがあるんですが……」
「何でしょうか?」奥さまは表情を曇らせて訊ねた。
「実は昨日、私の親友から仔犬の新聞広告の話を聞いたので、写メールで送ってもらって確認したら間違いなく、その仔犬と思ったんです。しかし連絡しようかすごく悩んで、今朝やっぱり連絡しようと決めていたんです。ですが、仔犬の光チャンはすごく家族に懐いているんです。光チャンがここに来てから、お母さんとおばあちゃんがよく笑うようになって少しづつ元気になっているんです」
奥さんは親身になって何度も小さく頷いた。
「お母さまとお婆さまは体が悪いのですか?」
「ええ、二人とも父のために心労が重なり体調を壊しているんです。母はまだ若いんですけど、とても働ける
体力がないんです。だから、私ひとりが働いて家族を養っているんです」
「そうなんですか、ご苦労されているんですね。立ち入ったこと訊ねて申し訳ないんですが、もし差し支えなかったらお父様はどうされているんですか?」
奥さまは遠慮気味に訊ねた。
「父は事業を失敗して借金のために離婚して失踪したんです」
沙也加は弱々しく言った。