目線、あいづち…頼りにされる話の聞き方 | KUNOICHI☆ウチにおまかせ

目線、あいづち…頼りにされる話の聞き方

甲斐の名将・武田信玄は、自分が納得いかないことは何度でも聞いて、真の情報を引き出そうとした「聞き上手」だった。一方で、相手の「人の話を聞く態度」もつぶさに観察していた。話を聞く態度はさまざまだ。目をキョロキョロさせて落ち着かない人もいれば、やたらうなずいたり笑ったり、あいづちを打つ人もいる。また、相手の顔は見ずに上半身をじっと凝視しながら話に耳を傾ける人もいる。この中で、信玄が「最も頼りになる」と評価したのは「こちらの顔を見ず、胸のあたりをじっと見つめながら話に耳を傾ける人」だったという。

人の話を聞きながら、うなずき、笑い、あいづちなどをタイミングよく行った場合、話し手の多くは「自分の話を一生懸命聞いてくれている」「共感してくれた」と好意的に解釈するものだ。そして、気をよくしてもっと話したくなる。しかし、信玄は長年の経験からうなずきやあいづちが多い人間は表面的な反応は早いが、意外と話の内容を理解していないことに気づいたのだろう。すぐ「わかりました!」と調子よく言う人間に限って、実はよく理解できていないことが多い。また、反応が早すぎるのも要注意というわけだ。むしろ信頼できるのは、じっくり耳を傾け、納得いくまで質問し、簡単に「わかった」と言わない方である。きっと「聞き上手」だった信玄自身も、このような聞き方に徹していたのではないだろうか。

目線については、相手と視線を合わせる「アイ・コンタクト」は相手に好意を伝えたり説得するときには効果的だが、凝視すると逆効果になってしまう。心理学的に見ても10秒以上の凝視はさけたほうがよい。信玄は「胸のあたりをじっと見る」という視線の使い方を評価したが、一対一で話し合う場合は、ときどき数秒程度視線を合わせるくらいが丁度よい。